2007年8月31日付け
世界の山口県人が一堂に集う「第二回在外山口県人世界大会」が二十五日、サンパウロで開かれた。ブラジルをはじめ、世界五カ国六団体から関係者約百人が来聖。二井関成山口県知事も出席して代表者会議、大会式典を行った。二井知事は式典で、在外県人会を「大切なパートナー」と位置付け、「大会を通じ世界に広がる山口県人のネットワークを構築してほしい」と呼びかけた。
二〇〇四年に母県で開かれた第一回大会に続き、サンパウロではじめて開催された山口県人世界大会。開催国ブラジルのほか、ペルー、アルゼンチン、メキシコなど中南米諸国と北米カリフォルニアの二団体(南加山口県人会=ロサンゼルス、沿岸防長同志会=サンノゼ)から関係者が来伯した。
当日午後三時から文協ビル会議室で開かれた代表者会議には、翌日の県人会創立八十周年とあわせて滞伯中の二井関成知事、松永卓副議長も出席。各団体の代表者と意見を交わした。
各国代表がそれぞれの県人会の歴史や年間行事などを紹介。北米の参加者からは会員の高齢化・若い世代の県人会離れなどの問題が報告された。
県費留学・研修については受け入れ枠の拡大、研修期間延長に関する要望のほか、「日本語能力検定三級程度」という選定基準のために候補者の枠が狭まっているのではないか、とする意見もあった。
ブラジル代表が県からの農業研修制度を実施してはどうかと提案。また、県の留学制度のない北米代表から短期交流事業の創設が提案され、知事も検討する意向を示した。
最後に、今後の県と在外県人交流に向けた対策として、「県の情報の世界への発信」「次世代育成に向けた県民・県人会子弟などの相互交流推進」「県と在外県人会のネットワークを起点とした国際交流推進」の三点からなる第一回大会の宣言を継承する方針を確認。次回大会を、国体が開かれる二〇一一年に山口で開催することも決まった。
午後五時半から文協貴賓室で大会式典。西林万寿夫総領事ら来賓、ブラジル、日本、各国関係者百人以上が訪れた。
冒頭、ペルー地震の被災者へ見舞いの言葉を述べた二井知事は、「故郷への思いを抱きながら言葉に表せぬ努力をしてきた皆様に心から敬意を表します」と先人の苦労をねぎらい、「大切なパートナーである在外県人会の地域・世代を超えたネットワークが必要」と将来への期待を表わした。
松永副議長が島田明議長の祝辞を代読。西林総領事は「グローバル化が進む今日、山口という共通項の下で世界的に連携するのは意義あること」と祝辞を述べた。会場では昨年山口県で開かれた国民文化祭の映像なども流された。
式典終了後はニッケイパラセホテルで交流会が開かれ、来伯中の桝屋敬悟、藤村修両衆議も臨席。出席者は食事を囲んで歓談した。
メキシコから参加した村上マヌエルさん(70、二世、在墨山口県人会元会長)は留学生のOB。「おかげで今も日本語が話せます」と話す村上さん。「これからもどんどん若い人が行って、日系として皆に尊敬される人物になってほしい」と語った。
同じくメキシコの石橋晴美さん(29)、アルゼンチンから来た藤岡マルセロさん(32)、ラウラさん(29)兄妹も研修員として訪日。「いろいろな経験ができ、とても役に立った」と話す。この大会で五人の同期研修員と再会したと喜んでいた。
平中信行県人会長は大会後、「第二回大会を山口県人の最も多いブラジルで開催できたことは良かった。これからも続いていくと思う」と手応えを語った。
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山口県からの海外移住は戦前戦後を通じて約四万七千人。現在七カ国で十四の県人会が活動している。