2007年9月4日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】政府が三十一日に議会に上程した二〇〇八年度連邦政府予算案は総額六八二七億レアルで、国内総生産(GDP)比二四・八七%となり、〇七年度の六〇九二億レアル(GDP比二四・一七%)を七三五億レアル上回る強気なものになった。この根底にはGDP比〇・五五%に及ぶ一五一億レアル相当の税収増加が見込まれている。これにより財政支出は〇七年を実質一〇・九%上回るものとなった。算定基準となったのは、インフレが三%、経済成長が五%、金利が一〇・一%、為替相場が一ドル=一・九八レアルなどで、最低賃金は現行の三八〇レアルから二七・三三レアル上がって四〇七・三三レアルになるとしている。
予算増枠の財源となった税収増についてベルナルド予算管理相は、増税が原因ではないとして、今年から来年にかけて増税は過去にもなく、今後もあり得ないとの方向性を強調している。税収が増えたのは民間企業が経済成長に乗り収益が上がったことで連邦税、特に所得税の納付額が増加したことが第一の原因だとしている。これにともない正規雇用が増加したことで、社会保障院(INSS)の積立金が増加したのも大きな要素となっている。
連邦の一般税収は〇八年度に四四八八億レアル(GDP比一六・三五%)が見込まれ、〇七年度の四〇五一億レアル(同一六・〇七%)をGDP比で〇・二八ポイント上回った。
いっぽうでINSSの徴収額は一五七一億レアル(GDP比五・七二%)で、〇七年度の一三七三億レアル(同五・四五%)をGDP比で〇・二七ポイント上回ると予想されている。これによりINSSの積立金増加による来年度の赤字は四一六億レアルとなり、今年度の四五〇億レアルから七・六%減少となる。INSSの赤字減少は一九九七年以来となる十年振りの出来事となる。政府の長年の懸案事項だっただけに明るい材料として受け止められている。
政府が目玉政策としている経済活性化計画(PAC)に対する来年度予算は公共インフラ工事(国道、空港、港湾など)が九二億一〇〇〇万レアル、都市整備(上下水道、住宅など)が八三億五二〇〇万レアル、その他が四〇〇〇万レアルとなっている。ルーラ大統領肝いりの貧困手当て(ボルサ・ファミリア)は現行の八六〇万レアルに、新たに対象となる一〇七万レアルと十七歳以下の未成年向けの六九万レアルが加わり、一〇三六万レアルとなる。
各省予算は国防(一〇〇〇万レアル)、法務(三一四万レアル)、財務(三二四万レアル)外務(一二五万レアル)、大統領府(二七七万レアル)予算管理(七五万レアル)となっている。
分野別では輸送(九二一万)、科学技術(三九八万)、都市整備(四六三万)、環境保全(六六万)、鉱山エネルギー(六〇万)、通信(四九万)に振り分けられている。社会福祉では保健(四二四九万)、社会開発(一三二四万)、教育(一二七二万)が主要項目となっている。
来年度予算で政府が気にかけているのが暫定金融取引税(CPMF、別名小切手税)の有効期限延長で、延長を見込んで三九〇億レアルの税収を盛り込んでいる。国会で否決された場合、この分の支出を押えるか、代りの収入を当て込むことになる。