ニッケイ新聞 2007年9月6日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】デング熱による発病が全国で猛威をふるっており、今年七月までに約四三万九〇〇〇人の発病が確認され、昨年同時期の四五%増となっている。八月半ばまでは四四万二〇〇〇人で、これによる死亡者は九十八人に上った。昨年は一年間で七十七人だった。発病および死亡者数はこれまでの過去で最高となっている二〇〇二年(発病七九万四〇〇〇人、死亡一五〇人)に次ぐ勢いを見せている。発病の原因は媒体となる蚊の繁殖によるもので、産卵場所となる水溜りをなくすることが予防となっているものの、各個人の注意の怠りでまん延している。
全国で特に発病が目立ったのは三州で、マット・グロッソ州は今年に入り七万二一八三人で昨年の一万二八一三人を大きく上回った。次いでリオデジャネイロ州の四万六八五七人で、昨年は二万八六七六人だった。パラナ州では昨年の四三〇〇人に対し今年は四万三六九一人と、一〇倍超を記録した。
サンパウロ州も劣らず、八月までに六万二二〇〇人、十六人が死亡するという過去最高となった。これまでの記録は〇一年の五万一七〇〇人だった。
保健省によると、これらの州では市を中心としたデング撲滅運動を停止したのが原因だとしている。運動員が定着せずに活動を停止せざるを得なくなるのが現状で、これにより、補助金交付も停止されている。補助金は六カ月間使途されないと自動的にカットされる。
撲滅運動は一九八六年に初めて発病が確認されて以来、毎年続けられてきたが、監視員に限らず、各家庭の協力が不可欠となっている。特に降雨量が多い年は水溜りが増え、蚊がまん延することで要注意となっている。
七月にリオデジャネイロ市で開かれた汎米スポーツ大会の期間中、発病が一人も登録されなかったことで、保健省では市民の注意心の効果のたまものだと評価している。
デング熱の発病は〇一年が四二万八〇〇〇人、〇二年がピークの七九万四〇〇〇人、その後、〇六年までは、三四万一〇〇〇人、一一万七〇〇〇人、二四万八〇〇〇人、二七万九〇〇〇人で推移した。いっぽうで死亡者は〇一年が二九人、〇二年の一五〇人をピークにその後、三十八人、八人、四十五人、六十一人となった。
八月までの発病は全国で四四万二七五七人、内訳は南東部が一四万七七五六人、北東部が一一万四一三人、中西部が一〇万三四一七人、南部が四万五三一二人、北部が三万五八五九人となっている。
デング熱の典型的症状は、高熱、身体に赤い斑点が生じ、頭痛や関節が痛む。高熱はすぐに平熱に戻ることがあるため見逃し易いが、すぐにまた高熱が戻るので要注意。死亡者の大半は熱が下がったため退院し、症状が悪化するのが原因となっている。さらに出血があると危険な状態に陥っている。