ニッケイ新聞 2007年9月6日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙五日】「供給ショック」による乳製品、食肉、小麦といった食料品価格の高騰により、低所得者層を中心に消費者の購買力が低下しつつある。
労組間社会経済調査・統計所(Dieese)が十六の州都で実施した調査の結果によると、生活必需品バスケット(セスタ・バジカ)の価格は八月にリオ・グランデ・ド・ノルテ州ナタル市で九・六二%、セアラー州フォルタレーザ市で八・一八%、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ市で八・一四%と大幅に値上がりした。政府の公式インフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は七月に〇・二四%だった。
過去十二カ月間の価格上昇率は、ナタル市二三・八五%、ポルト・アレグレ市二〇・一九%、リオデジャネイロ市一七・三四%、サンパウロ市一三・八一%だった。昨年の最低賃金名目調整率一六・六%、今年四月の調整率八・五七%を踏まえると、都市によっては最低賃金所得者の購買力が低下したことになる。
セスタ・バジカの価格はポルト・アレグレ市が最も高く二〇六・三九レアル、最も安いのはフォルタレーザ市の一四一・五三レアル。現在の最低賃金(全国基本)は三八〇レアル。
食料品価格は今年に入り外国と国内の要因が重なって高騰している。アルゼンチンとカナダの小麦不作、オセアニア地域からの牛乳・乳製品の輸出減少、中国を始めとする新興国、そしてブラジル国内の需要増加が価格を押し上げている。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団のデータによると、今年に入り牛乳(長期保存可)は五六・五四%、乳製品は三二・四二%と大きく値上がりした。卵は二〇・〇七%、鶏肉(一羽)は六・四%、牛肉は三・七六%の価格上昇だった。
サンパウロ総合大学経済経営学部のカウモ教授は、牛乳と食肉の価格について、昨年までの低価格で生産量が減少していたところに国際的な供給ショックが加わり高騰した、来年には供給が回復し価格も下がると予想している。
セスタ・バジカの高騰についてマンテガ財務相は、「単なる黄信号」とみており、今後の状況を注視して必要であれば減税などの対策実施を検討していると述べた。