ホーム | 日系社会ニュース | ■ひとマチ点描■バストスに〝憲兵隊〟

■ひとマチ点描■バストスに〝憲兵隊〟

ニッケイ新聞 2007年9月6日付け

 〝卵の都〟サンパウロ州バストスの町の一角に興味深い表示がある。軍警の交番に『憲兵隊』と――。
 同交番が2003年にリフォームされた際、新たに書き添えられたものだそう。入り口には「BEM VINDO いらっしゃいませ」との言葉も。
 一般に憲兵隊とは、軍隊内部の秩序維持をつかさどる兵科で、軍警察とも呼ばれるため、ブラジルの州警察(軍警)と職務は異なるが、呼称は似ている。日本では戦前、旧陸軍として国民の反戦思想取り締まりも担っていたため否定的な印象もあり、現在は使用されていない。
 が、同交番に勤務するテノリオ下士官は表示を指差し「皆これを気に入ってるんだよ。カッコいいだろ」と満面の笑み。マホーニ中尉もうれしそうにうなづいた。
 どのような経緯で表示されたかは不明だが、来年80年の節目を迎える、移民の伝統の長い土地ならではの〝歴史的な表現〟かもしれないと思った。 (稲)