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倫理委=上院議長に「有罪判決」=本会議で決着へ=議員権はく奪前に辞任も=後任はサルネイ上議か

ニッケイ新聞 2007年9月7日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】レナン・カリェイロス上院議長の一連の不正資金悪用の告発を受けていた上院倫理委員会は五日、同議長の議員権はく奪を上院議決で採択することを決定した。これを受けて憲法・法務委員会も絶対多数で国会議決を承認した。疑惑発覚以来、一〇四日間の長きにわたり、あくまでも疑惑を否定し議長の椅子に執着を見せてきた同議長だが、これにより国会の審判が下されるという正念場を迎えた。これまで一貫して同議長擁護の姿勢をとってきたルーラ大統領は、国会の公正な審判を尊重するとの考えを示している。また、連立与党の間でも、ここに至っては議長辞任も止むを得ないとする動きも出ている。議決が無記名投票で行われることで、同議長は無罪放免になるとの読みもあるが、辞任して政治生命をつなげると見る向きもある。
 カリェイロス上院議長の不正資金スキャンダルの告発を受けて調査を重ねてきた倫理委員会は五日の会合で、賛成十一票、反対四票の多数決で同議長の議員権はく奪を上院議決に委ねる決定をした。これを受けて数時間にわたり開催された憲法・法務委員会は二〇票対一票の絶対多数で議決を行うことを承認した。議決は十二日に行われる予定。この議決で上議八十一人のうち過半数の四十一人が賛成票を投じると、議員権がはく奪される。
 倫理委員会は三時間の長時間にわたったが、その成り行きを見守っていた同議長は「勝てる。心配ない」との強気の姿勢を終始崩さなかった。しかし、委員会の結論は同議長の資金の流れは違法であり、特定の人物との癒着で、便宜を与えたとして有罪判決となった。
 ルーラ大統領はこれまで同議長擁護の立場を維持してきたが、今回の決定につき、国会という公正な場で審理されることで他人が意見をはさむ余地はないとして、後は上院の問題だとの認識を強調した。上院議員の間では議決が無記名投票となったことで議長に有利な展開となり、もし仮に今日投票が行われると議長は無罪放免を勝ち取るとの読みが大半を占めている。中には四六票対三五票で議長が無罪となると見る向きもある。
 しかし、議決が来週にずれ込んだことで、九月七日の休日をはさむ連休で、国民批判が高まり、意見を覆す議員が出てくることで、議長の有罪判決になるとの見方が強まっている。
 これを見越して連立与党の間では、同議長の辞任も止むを得ないとの見方が強まり、議長職を同じブラジル民主運動党(PMDB)の長老格のサルネイ(元大統領)上議に委譲する動きも出ていると伝えられている。
 政府筋では同議長留任に向けての動きが大勢を占めているものの、政府が至上命令としている暫定金融取引税(CPMF)の国会承認のためにも議長退任も止むなしとしている。上院では野党勢力が強く、CPMF延長承認には発言力のある議長が不可欠だと政府はみている。