ニッケイ新聞 2007年9月7日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙六日】中央銀行は六日、通貨政策委員会(Copom)会合を開き、基本金利(Selic)を〇・二五ポイント引き下げ、年一一・二五%にすることを満場一致で決定した。
六月と七月の会合では引き下げ幅が〇・五ポイントだった。基本金利は一昨年八月の年一九・七五%から十八回連続で引き下げられている。今回の〇・二五ポイント引き下げは、市場関係者とルーラ大統領にも予想されていた。
コンサルタント会社UpTrendの試算によると、今後十二カ月の予想インフレ率を差し引いた実質金利は年七・三%で、トルコ(同九・四%)に次いで世界第二位となっている。
「Copomはマクロ経済を総合的に評価し、インフレ圧力のリスクを考慮しても追加的な金融刺激策を正当化できると今回は判断した。今後の金利についてはマクロ経済情勢を注意深く見守った上で、方針を定める」。会合後に発表された声明は、十月十六日と十七日に開かれる次回会合で金利引き下げが継続されるかどうか、金融アナリストらに疑問を投げかけた。
イタウBBAチーフエコノミストのアザラ氏は、声明には次回会合で引き下げにピリオドが打たれる可能性が読み取れるとコメントした。同氏によると、八月には米国住宅ローン焦げ付き問題を基に金融危機が発生したにもかかわらず、今回の決定は国内要因をより重視したものになっているという。
ここ数週間、生活必需品バスケットの主要五品目(牛肉、牛乳、トウモロコシ、大豆、小麦)の価格が上昇し、予想を超えるインフレが進んでいる。国内総合物価指数(IGP―DI)は七月の〇・三七%から八月には一・三九%へと急上昇した。
中銀は年末時点のSelicを一〇・七五%と予想していたが、今週発表された中銀の経済動向調査(Focus)によると、市場関係者は一一%と予想を上方修正している。年内にあと二回予定される会合で引き下げが見送られれば、年末時点のSelicは今回と同じ一一・二五%となる。
サンパウロ州工業連盟(Fiesp)や全国工業連合(CNI)、そして労働組合のフォルサ・シンジカルは、今回の引き下げは中銀の保守主義の現れで、今年下半期の成長を加速させるには不十分と中銀を批判している。
全国経営・財務エグゼクティブ協会(Anefac)は〇・二五ポイントの引き下げは市中金利低下にわずかしかつながらないとみて、個人消費者向け貸出金利の平均は年一三一・八七%、法人向けは年六一・七七%と予想している。