ニッケイ新聞 2007年9月11日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙九日】半数のブラジル人が運動やスポーツを何もしていないことが、ブラジル心臓医学協会(SBC)とダッタフォーリャが十八歳から七十歳までの二〇一二人を対象に実施した共同調査で判明した。肥満につながる運動不足は年間三十万人の命を奪う心臓病の主な原因となっている。
同調査によると、運動を定期的に行っていないと答えた人は全体の四九%を占めた。男女別では男性が六〇%、女性が四一%と、男性に運動をしている人が多かった。年齢別では、十八歳から二十四歳までが三九%、二十五歳から四十四歳までは五〇%、四十五歳から五十九歳までは五三%、六十歳から七十歳までは五七%と、高齢になるほど運動しない人の割合が高くなった。所得別では低所得者ほど運動をしない人が多い。
運動している人のうち、毎日している人は二〇%と最も多く、一週間に一日か二日が一三%、三日か四日が一二%と続いた。運動内容はジョギング(二八%)、サッカー(一三%)、筋肉トレーニング(六%)の人気が高かった。
SBCのアヴェズン心臓保健促進部長は、「自動車やエレベーター、家電製品のリモコン。生活水準の向上が運動不足を招いている」と、運動不足は大都市特有の構造的問題だと分析する。また、自動車優先主義を背景とする歩道や自転車専用道路の未整備、公園の不足、大気汚染など、市民の運動意欲を失わせる環境が問題だという。
カンピーナス州立大学のジェロネーゼ教授も環境の重要性を主張する一人で、穴のない歩道や治安の保たれた公園整備は医療費よりも安上がりだとコメントしている。
「医者の不養生」とは逆に心臓専門医の間では、運動をしない人は三〇%に留まった。国際的には、米国では運動をしない人が六〇%とブラジル人より割合が高かった。割合が最も低いのはフィンランドで、運動をしない人はわずか八%。
フィンランドでは一九七〇年代に喫煙、飲酒や脂肪分の多い食事が原因で心臓病患者が多かったが、政府が禁煙やスポーツ活動などを推進した結果、八二年から九七年までの十五年間に心臓病が六三%も減少した。平均寿命も男性が七年、女性は六年延びたという。