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ダニエラさん=柔道ブラジル代表は日系デカセギ子女

ニッケイ新聞 2007年9月11日付け

 デカセギ日系子弟がブラジル柔道代表に――。近くリオで開幕する世界柔道選手権大会に、日本で青春時代を過ごした日系人女子選手が挑戦する。六十三キロ以下級のダニエラ百合中沢バルボーザさん(三世、レジストロ出身)、二十三歳。「だれと試合しても怖がらないで一生懸命やるだけ」。〃母国ブラジル〃の代表として、初めて出場する柔道の祭典に際し、こう意気込みを語っている。
 百合さんは静岡県内の公立高校を卒業したあと、一年間、地元浜松の自動車部品工場で働いた。「でもこれは無理と思った」。日本で学生時代を過ごすなかでも「自分の国はブラジル」との想いが強まった。
 「好きな柔道に打ち込みたい」――。そう決意した十九歳のとき、単身で帰伯した。
 母親が日系二世。父親のエジソン・シルヴァ・バルボーザさんはデカセギとして働いたあと、静岡県浜松市に柔道の道場を開いた。百合さんは小さいときから父親の指導で柔道に親しんだ。
 「日本に行ったときはまったく言葉がわからなくて・・・」。十一歳で渡日。地元の公立中学、県立高校に通いながら「日本語をたくさん勉強した」。柔道部に所属し、高校時代には国体の代表選手にも選ばれた。
 柔道二段の兄は「父親の手伝いをしながら柔道の先生になった」。弟も百合さんが通った公立高校に入学、柔道部に入った。
 「家族とはよく連絡しています」と百合さん。今年七月にリオであったパン・アメリカン大会では見事、銀メダル。その健闘ぶりも遠く離れた日本の家族がグローボ局の海外放送を通して応援してくれた。
 今大会では同階級の谷本歩実選手(日本代表、アテネ五輪優勝)との対戦もありえる。「彼女とは高校時代の強化合宿で練習したことがあるかな。スピードがあって、いきなり技をかけてきます」。
 百合さんは今年二月、フランスで開催された世界柔道大会で七位と健闘。その後M・ジェライス州での世界大会で、ライバルの石井バニア選手(ブラジル)を準決勝で下し、念願の代表入りをきめた。
 現在はサンパウロ州サン・カエターノ市にある柔道クラブに所属する。IMES大学体育学部の三年生。将来の夢は「子どもが好きだからやっぱり柔道の先生かな」と笑顔だ。
 三日から始まった合同練習の初日では、右手人差し指の爪が半分ちぎれるケガをした。「でも大丈夫。ぜひ応援をお願いします」と力強く語る。
 百合さんの試合予定日は今月十四日。大会は十三日から十六日まで。