ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ファベーラ視察列車を狙撃=リオ=大臣や要職者乗る=麻薬密売組織の犯行か=動機は未解明

ファベーラ視察列車を狙撃=リオ=大臣や要職者乗る=麻薬密売組織の犯行か=動機は未解明

ニッケイ新聞 2007年9月12日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】リオデジャネイロ市北部のファベーラ、ジャカレジーニョで十日朝、二大臣や州公職要職者を乗せた視察列車が麻薬密売組織の一味と思しき数名に狙撃される事件が発生した。幸い乗客らにケガはなかったものの、警察では要職者を狙ったものか、単にファベーラ内に立ち入ったことに対する威嚇なのか動機を追及している。この事件に対し警察の反応は素早く、警官一〇〇人がファベーラを急襲し、犯人と思しき一人を射殺、三人にけがを負わせた。
 視察列車はグアナバラ湾の港からマリア・ダ・グラッサ駅までの区間を走行したもので、普段は貨車のみだが、特別に二両編成の客車が仕立てられた。一号車にはフォルテス都市整備相とブット港湾管理相および州政府の要人、ならびに招待客が乗り込んだ。二号車は主に報道関係者で占められた。
 列車を利用したのは港への貨物運送のインフラ整備の是非を見ること、政府がファベーラ、ジャカレジーニョ内の線路沿いに建てられたバラックの撤去を決めたことで、その対象となった四五〇軒の工事の進展ぶりを見ることにあった。さらに第二段階として五〇軒の撤去を決めており、その視察も兼ねていた。
 列車がファベーラ内にさしかかると同時に発砲が始まった。武器を持った少なくとも四人の若者が家の屋根から発砲するのが目撃された。乗客らは一斉に床に伏して銃弾から逃れた。
 列車は終点のマリア・ダ・グラッサ駅で停車した。一行は復路も同様に列車で戻ることを決め、運転士は時速二〇㌔から四〇キロに加速して帰路を急いだ。しかしファベーラ内にさしかかると、また発砲があり、車内はパニックに陥った。
 警察当局では発砲事件を、視察旅行と知った上でファベーラ撤去に抗議したものなのか、あるいは麻薬密売組織が単に当局に反抗した行為なのか、特定しかねている。
 リオ州軍警は麻薬密売組織との対立が激化しており、ファベーラ内での抗争が相次いでいることから、今回の事件も予想されたことで、主催者側に中止を進言したことを明らかにした。しかし事件を見逃すわけにはいかず、同日午後にファベーラ、ジャカレジーニョを急襲し、犯人と思われる一人を射殺し、三人を負傷させた上で逮捕した。