ニッケイ新聞 2007年9月12日付け
現在、熊本市とブラジル熊本文化交流協会(福田康雄会長)との間で、珍しい形の文化交流が行われている。母県から指導員が一カ月間も来伯する例は、県人会多しといえどあまり例がないという。
同市との「文化交流委員」制度は、日本移民百周年に向けての準備との位置付けで〇二年から始まっており、若者同士の日伯交流を目的としている。
年ごとに相互に交流委員を送りあっている。ブラジルからは文化を学びに三カ月間、日本からは指導に一カ月間訪問し合う。費用は本人が三分の二を、残りは市が負担している。
これまでに日本からは陶芸や踊り、民謡などの指導に四人が来伯した。ブラジルからは茶道、陶芸、書道などを受講するために訪日している。
先月二十七日に着聖して以来、指導員の平島玲恵子さん(51、郷土料理、生け花、茶道)と小林寿美子さん(34、琴、書道)の二人は地方支部などを訪れて忙しく文化指導を行っている。
八日には同協会会館で婦人部及び青年部を集めて料理講習会、琴の演奏会が行われた。午前中の料理講習会では平島さんが、辛子蓮根や団子汁、太平燕などの郷土料理を当地の食材を使って料理講習した。
午後から小林さんらが琴を披露。SMAPの「世界に一つだけの花」などを演奏した。その後は、平島さんらが中心になって抹茶を点てたり、茶菓子を振舞ったりして文化交流を深めていった。
熊本市の広報を見て応募を決めた小林さんは「とにかく外国で日本文化を指導してみたかった」と参加動機を語った。平島さんは、「自分のやってきたことを使えると意気込んできたが、移住者の方々がしっかりと日本文化を伝え、根付いているのに驚いた。より日本を感じられる」と率直な感想を述べた。