ニッケイ新聞 2007年9月13日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】今年四月から六月までの第2・四半期の国内総生産(GDP)成長率が、家庭消費と投資の拡大に引っ張られた形で大幅な上昇となることが見込まれている。公的数字は十二日に発表されるブラジル地理統計院(IBGE)の算出したものとなるが、銀行やコンサルタント会社などの金融界では四・九%から六・一%の大幅上昇としている。とくに国内需要の成長に後押しされた工業生産の伸長が注目されている。
国家の公的数字となるIBGEの発表を控えてエスタード紙が三〇社以上の金融機関やコンサルタント会社で聞き取り調査をしたところ、第2・四半期のGDP成長率は昨年対比で、最低でも四・九%、最高で六・一%と、一様に大幅成長となった。
GDP成長率が五%以上となるのは二〇〇四年以来で二年振りとなる。前期(一月から三月までの第1・四半期)比では〇・八%から一・二%増となり、国内消費の増大が工業生産の上昇に大きく寄与していることが顕著となった。
実質的にはGDP成長率は〇六年の第3・四半期から連続的に前年対比で四%以上の上昇となり、〇五年以降では前期対比で二%から四%の上昇を見せている。
今回は業界の中で五・九%成長を挙げる向きも出ており、金融アナリストはこれに対し、政府目標の五%を超える楽観姿勢の表れだが、ブラジルはまだ高度成長を受け入れる体制になっていないと指摘している。
そのためにはインフラ整備を完備すること、GDP成長の要素を確立すること、税制改革を行うことが肝要だとしている。これらが確立して成長を遂げることで初めて開発途上国グループのBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一翼を担うことになると指摘している。
オースティン・レーチング社によると、ブラジルの上半期のGDP成長率は四・七%どまりで、これに対し、中国は一一・五%、インドは九・二%と大きく水を開けられるとみている。
いっぽうでアナリストらは、現在世界的に広がっている金融不安に対し、ブラジルは耐える体力を持っており、脅かされる不安や危惧はないとの見方をしている。今後ブラジルの当面の不安材料はインフレにあると指摘している。このために世界の商品市場やサービスに対し、価格変動に左右されない供給体制を確立することが肝要だと指摘している。