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元県費留学生が記録書=制度に危機感を持つ

ニッケイ新聞 2007年9月13日付け

 一九七五年に県費留学生として、愛媛県に滞在した山内恵子マリアさんがこのほど、自身の日本での体験をまとめた記録書を自費出版した。題名は『日本、昭和50年 ブラジル留学生の思い出』。二十四歳の一人の日系女性が感じた当時の日本の姿、県費留学生制度について、カラー写真を使いながらみずみずしい感性でまとめられている。
 山内さんは現役の日伯文化連盟の日本語教師。出版の動機については「近年、日本の各県で県費留学制度を中止する方向にあることに、危機感を抱いていたことが一つ」という。年金生活者として金銭的、時間的な余裕ができたことも理由にあるようだ。
 出版にあたり「(本書は)ご先祖様の国で得た貴重な経験と自己の内に起きた大きな変化の語りかけ。このかけがえのない体験をより多く人と分かち合うことが私の念願です」と山内さんは話している。
 本書では日語とポ語の両方で記述されている。全九十三ページ。現在、二百部を刷り、無料で配布しているという。希望者や問い合わせは山内さん(電話11・5011・3495)まで。