ニッケイ新聞 2007年9月14日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】レナン・カリェイロス上院議長の資金スキャンダルに端を発した同議長の議員権はく奪の議決が十二日、上院で行われ、はく奪は反対四十票、賛成三十五票で「無罪」の審判が下された。前日までははく奪に必要な四十一票が賛成に投じられるとの予想が高く、議長不利の様相を呈したが、政府と与党の工作が功を奏した。与党では六人が投票を欠席するなどして反対に貢献した。投票が無記名かつ非公開だったことで、一部では予想された結果と受け止められているが、議員らの一蓮托生の境地でかばい合いの気持ちが作用したものとみられている。
政界を揺るがしたスキャンダルの決着がつけられることで、十二日の上院本会議は異様な熱気に包まれた。攻防両陣営の告発に対する個人攻撃の応酬が展開された後、決議が行われた。結果は議員権はく奪に反対が四十票、賛成三十五票、棄権六票ではく奪は免れた。
これにより、同議長が愛人関係にあったジャーナリストおよびその間に出来た娘の養育費に関し、ロビイストから資金援助を受けていたとする疑惑は上院本会議で否定された。しかしこの疑惑は最高裁で調査されており、終止符が打たれたわけではない。
野党側は、同議長がこの資金疑惑のほかにビール会社の斡旋業務やアラゴアス州のラジオ局買収などの告発があることから、これらを追及して議長辞職に追い込むとの構えを見せている。また政府が至上命令としている暫定金融取引税(CPMF)の延長を阻止するとの態度も見せている。
今回のはく奪回避は政府の工作と、労働者党(PT)が造反を阻止するために、はく奪に必要な最低票の四十一票に到達しないために六人の棄権を決めたことにある。その立役者となったメルカダンテ上議(サンパウロ州選出)は、CPMF延長を図るためにもカリェイロス議長を休職させてヴィアナ副議長に上院を運営させるのが得策だとの考えを示している。
上院での無罪決定に対し、国内から批判が出ている。全国司教会議では声明書で非難を表明、同議長の不正告発はまだ続くとしている。