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五木ひろし来伯は絶望的か?=希望の家、資金調達を辞退=予算倍増で資金集め困難に=松尾氏帰伯後に最終決定

ニッケイ新聞 2007年9月14日付け

 演歌歌手五木ひろしの来伯は絶望的?――。北川彰久氏(日伯音楽協会会長)が約二年間、企画・調整していた百周年記念ショーの開催が、資金調達を約束していた『希望の家福祉協会』(木田喜八郎会長)の協力辞退により、実現がほぼ絶望的になっていることがニッケイ新聞の取材で分かった。木田会長は、「予算額が当初の倍近くになり、資金調達は不可能と判断した」と話しており、同会の関連委員会も解散したことを明らかにした。北川会長は、「現在検討中。はっきりした時点で正式に報告したい」と明言を避けた。パラナ百年祭でのショー開催も決まっていたが、西森ルイス州議は、「パラナだけでは無理」と話し、実現不可能の方向で調整に入ることとなったようだ。
 「コロニアの信用に関わることになっては」――。木田会長は、五木氏来伯に関する資金調達に「責任が重すぎる。約束できない」と六日午前、北川氏、石井久順氏、羽田宗義氏、吉岡黎明・百周年文化委員長が参加した会議の席上、正式に伝えている。
 元々の話では、サンパウロが二十万レアル、パラナが十五万レアルの振り分けで資金調達が進んでいたというが、最近になって、ほぼ倍の七十万レアルが必要と聞き、「不安になった」という。
 同協会では、ショーの会場の手配、チケット販売、防犯関係などを担当、五月に委員会を設置したが、予算の内訳が明確でないこともあり、協力辞退に踏み切ったという。
 「納得してもらったとおもう。応援はしたいが、現状での協力は無理」と委員会も解散している。
 同席した羽田氏は、「希望の家が資金協力できない状況であれば、サンパウロで(の実施)は考えられないのでは」とほぼ絶望的な見方を示す。予算内容がはっきりしなかった面も事実否めなかった、という。
 北川氏は、「(協力辞退を聞いた時は)ショックだった。予算は五十万レアルほどと見積もっていた。しかし、資金調達だけの問題ではないと思う。各方面から、色んな情報が入り、断念せざるを得なかったのでは。木田さんには迷惑をおかけしたと思っている」と取材に答えた。
 そのうえで、「元々は上原幸啓理事長、吉岡黎明氏(当時総務委員長)ら百周年からの話」と不信感を露にする。
 在サンパウロ総領事館関係者の話では、「五木氏の来伯公演は、あくまで民間ベースの話。それが決まってからでないと、式典での君が代斉唱などの検討は始められない」との一貫した立場を話している。
 パラナ州でもショー開催を決定していたが、昨月二十九日にニッケイパラセホテルで北川氏らと会合した西森ルイス州議は、「サンパウロ側で様々なことを決定させたうえで、予算もはっきりさせてほしい」と申し入れたという。
 来場には、四千人を見込んでおり、「十五~二十万レアルの予算なら大丈夫」とサンパウロ側に伝えていたという。
 しかし、十一日、希望の家関係者からの「協力辞退」の報告を受け、「まず無理だと思う。パラナ独自での実施は考えていない」と強調し、「残念だがしょうがない。(パラナ出身の三世歌手)南かなこをこれから推していきたい」と方向転換を図る考えだ。
 北川氏は、「現在訪日中の松尾治・百周年執行委員長の帰国を待って最終決定をしたい」と話している。