ニッケイ新聞 2007年9月14日付け
【リオ発=池田泰久記者】第二十五回世界柔道選手権大会が十三日、リオ市のマルチユーズ・アレーナではじまった。柔道の祭典ともいえる今大会に、世界約百三十九カ国から七百三十八人の柔道家が集結。大会最終日の十六日まで男女八階級にわかれて、白熱した試合を繰り広げる。日本勢は初日から主力が敗退するなど波乱ぶくみの展開になってきた。
試合は予定より二時間遅れの正午から始まった。初日の男子百キロ超、百キロ級、女子七十八キロ超、七十八キロ級では、日本の重量級エースの井上康生、鈴木桂治両選手がまさかの二回戦敗退を喫した。
両選手が負けた瞬間、会場中からは大きなブーイングと拍手が同時に巻き起こった。鈴木選手は判定に納得のいかない様子で畳の上に立ち尽くし、再試合をアピールしたが判定は覆らなかった。この判定に関して疑問の声が多く上がっている。
十三日、ブラジル男子百キロ超のジョアン・ガブリエル選手はセネガルの選手と対戦し、関節技の一本勝で初戦突破。午後四時現在で、ベスト4に残った。男子百キロ級のルシアノ・コレア選手もベスト8になった。
ブラジル女子七十八キロ超のプリスシリア・マルケス選手はアテネ金メダリスト孫福明(中国)選手に押さえ込まれて初戦敗退。七十八キロ級のエヂナンシ・シルバ選手はカメルーンの選手に勝ち初戦を突破したが、三回戦で中澤さえ選手(七十八キロ)にあえなく敗退。会場からは惜しみない拍手が送られるなど、日伯の選手の熱戦に会場は沸いた。
日本代表の塚田真希選手(七十八キロ超)は順当にベスト4に進んだ。
ブラジル男子代表の篠原準一監督は十三日午前、ニッケイ新聞の取材にたいし、「色に拘らずメダルを獲得して欲しい」と大会前とはトーンのかわったコメントをした。
石井道場館長の石井千秋さんはブラジル代表に対し、「金を三個取って欲しい。しかし、最近東欧の選手がサンボ(ロシアの格闘技)を取り入れた想像できないスタイルで試合をするのでかなり苦戦する」と冷静に分析していた。
試合会場は七月に開かれたパン・アメリカン大会でも使用された。最大一万三千人の観客が収容可能で、多くの柔道ファンがあつまった。日本からはフジテレビを中心に百人以上の取材班がかけつけるなど、注目度の高さが伺われる。
会場にはリオ日本人学校の生徒十五人が保護者とともに駆けつけ〃頑張れ日本〃の垂幕と、日の丸の旗を振って応援していた。応援団長の松田賢吾くん(15)は「ブラジルに日本の強さを見せつけて欲しい」と興奮した様子で話した。(十三日午後四時現在)