ニッケイ新聞 2007年9月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】十二日の上院本会議の議決で議員権はく奪の免罪となったレナン・カリェイロス上院議長に対し、野党側は引き続き追撃していく意向を固めている。主だった野党議員は議長の辞職あるいは休職を要求している。これに対し議長は「その気は毛頭ない」として、議長の椅子にとどまることを表明している。これによりスキャンダル発覚以来、一〇〇日以上も続いてきた議長ポスト辞職の争いは今後も続くことになる。
議長の議員権はく奪では上院で一敗地にまみれた野党だが、これまで主張してきた議長辞職を要求していく意向を固めた。さもなくば休職に追い込むことも視野に入れて、今後攻防を続けるとしている。このため、上院本会議に上程する議案を制限し、これまでに優先的に取り上げてきた政府の緊急上程をも無視するとの態度を固めた、その上で同議長の下での審議はボイコットすると通告している。
これにより政府が懸案としている暫定金融取引税(CPMF)の審議がストップし、年内の法案延長がおぼつかなくなることで、政府が同議長に何らかの働きかけをすることを期待していると見る向きが多い。
いっぽうで連立与党内でもこの動きに賛同する議員も多く、同議長の所属であるブラジル民主運動党(PMDB)内でも、同議長が長い期間スキャンダルで心身的に疲れたのをいやすため、家族で海外旅行を勧める議員もある。これらの動きに対し、同議長は「議長は自分の天職だ」として、辞職や休職あるいは休暇を取る気は毛頭ないとの強硬姿勢を崩していない。
政府は議長が免罪となった時点で、CPMFの承認を得るために議長を休職させて、ヴィアナ副議長(労働者党=PT)に国会を運営させるねらいを見せたが、これも議長が拒否した。これについて副議長はCPMFにより三六〇億レアルの税収が社会福祉に使用されるかの瀬戸際であり、議長の妥協が必要だとの態度を示している。
予想に反して議長の議員権はく奪が否決されたことで、国会内では今回行われた無記名かつ非公開投票は不透明だとして廃止する動きが出ている。ブラジル弁護士会(OAB)もこれに賛同している。