ニッケイ新聞 2007年9月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】サンパウロ市内で未成年者の路上生活者いわゆるストリート・チルドレンが一八四二人おり、そのほとんどが街路で何がしかの収入を得て生活している、サンパウロ市が経済研究所(FIPE)に委託して調査したもので、調査員が身柄を確保した時点で一〇四〇人は仕事に没頭しており、八〇二人は無職の状態で過ごしていた。サンパウロ市社会開発局では二〇〇五年の調査に基づき、路上生活者は四〇三〇人に達すると予想していたことで、その数は減少したものの、さらに減少させるべく確固たる政策が不可決だと指摘している。
これまでの実勢調査は統計や資料によるものだったが、サンパウロ市が第三者の機関に調査を委託したのは初めての試みだった。委託を受けたFIPEでは今年六月から調査員を街頭に送り出して路上生活者と対面して実態調査を行った。このためかなりの現実性を帯びている。調査員は対面者がダブらないように時間帯(午後四時から八時までのピーク時)や天候(雨天の場合は路頭に出るのが少ない)を見計って街頭に繰り出したという。
調査は十八歳未満の青少年を対象とした。その結果、調査に乗り出した三十一区のうち、一人も路上生活者が見当たらなかったのはわずか四区だった。これらは南部のシダーデ・アデマール、ペルス、バレリェーロスと東部のシダーデ・チラデンテスだった。
最も集約していたのが都心部で四二%に相当する七七四人だった。次いで南部が多く、サント・アマーロ区では六・一%だった。三番目は東部で、イタイン・パウリスタでは二・五%だった。都心部に集中するのは地方からの交通の便が良く、人通りが多いことから、何がしかの収入が得られるからで、前述の四区で該当者がなかったのは都心へ「出張」したのが原因とみられている。
街頭での収入はアメ玉、チョコレートやチューインガムなどの物品の販売が最も多く、五五・九%を占めている。次いで車のワイパーの掃除や靴みがきなどのサービスが二一・六%、金品をねだる物乞いが一五・六%となっている。
関係者によると、物乞いが習慣となることで、路上生活者が絶えないと指摘している。物乞いの年齢は年少者に多く、十二歳以下が七〇%を占めている、年少時に物品がもらえることで路上生活に定着するとの見方が強い。市当局によると、街頭で停車する十台のうち四台は一レアル相当の物を与えているという。これのみで年間二五〇〇万レアル相当が流通していると指摘している。
今回の調査の対象者はいずれも浮浪者収容所への入所を忌みきらっている、自由が束縛されるのと、喫煙などが禁止されるのが原因。また対象者の五・九%が麻薬を常習すると答えたが、関係者は少なくとも三〇%は常習犯とみている。