ニッケイ新聞 2007年9月15日付け
【リオ発、池田泰久記者】ブラジル男子、金、銅獲得、大活躍――。リオで開催中の世界柔道選手権大会は、十三日が第一日。ブラジル男子百キロ級のルシアーノ・コレア選手が大会初優勝、百キロ超級のジョアン・ガブリエル選手が、三位決定戦で日本のエース井上康生選手を下した。
ルシアーノ選手は気迫あふれる攻めで試合をすすめ、圧倒的なホームの声援のなかで決勝進出。英国のコンシンス・ピーター選手に一本勝ちした。ジョアン選手は、準決勝戦で敗れたあと、執念で敗者復活戦を勝ちのぼった井上選手と三位決定戦で対戦、残り二分五十秒で効果を取り、そのポイントを守りきった。
ルシアーノ選手が金メダルをきめてすぐ、篠原準一ブラジル男子監督は、邦字紙の取材に答え「ルシアーノは決勝までいくと思ったが、優勝するとは期待以上」と満面の笑み。「彼は技はキレないが、きょうは勝つ気にあふれていた」と試合をふりかえり、来年の北京五輪には「メダルも期待できる」と、目を充血させながら、少し憔悴した様子で語った。
また、ジョアン選手の銅メダルには「最後までスタミナがあった。井上は二回戦で一度負けたショックが最後までとれていなかったのでは」と説明した。
この日、男女とも金なしとなった日本代表。試合後、日本メディアの取材に斎藤仁監督は「ブラジルの選手とは以前からじっくり練習をしてきたが、やはり試合になると違う」と評価。井上選手を二回戦で下し、その後優勝したフランスの新鋭リネール選手にふれて「身長や手足の長さ、バネが違う。(康生も)思った以上の(試合の)やりずらさがあったと思う」と言葉を選びながら語った。
これから出場する選手には「多少動揺はあると思うが、しぶとく、しぶとくやれ」と言った斎藤監督。「気持ちを切り替えてまた、あすから頑張りましょう」と記者団に呼びかけた。
日本女子の塚田真希選手と中沢さえ選手はともに二位だった。