ニッケイ新聞 2007年9月18日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十七日】昨年に労働者の平均所得が七・二%増加し、八八八レアルに達したことが、ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)で明らかとなった。
Pnadは全国一万四五六〇世帯の四一万三〇〇人を対象に聞き取り調査を実施したもの。労働者の平均所得はレアル・プラン実施の恩恵を受けた一九九六年に九七五レアルのピークに達した後、七年間連続で減少を続け、第一次ルーラ政権(二〇〇三―〇六年)が発足した〇三年には七九二レアルにまで落ち込んでいた。それ以降は、〇五年の四・六%、昨年の七・二%と二年連続で回復を示した。
所得の平均増加率は第一次ルーラ政権の間に一・一%だった。第一次カルドーゾ政権(九五―九八年)では七・五%と大幅に上昇したが、第二次カルドーゾ政権(九九―〇二年)では逆に三・六%のマイナスを記録していた。
所得増加の理由として研究者らは、昨年の最低賃金の一三・三%調整、最低賃金の三倍未満の労働者を中心とした雇用の増加を挙げている。第一次ルーラ政権で八七〇万人の新規雇用が創出され、失業率も〇三年の九・七%から昨年には八・四%にまで低下した。
所得層別にみると、所得増加の恩恵を大きく受けたのは富裕層より貧困層だった。国民の半数を占める貧しい人たちの平均所得は二九三レアルと昨年に八・五二%増え、〇三年の二四六レアルと比べ四七レアル増加した。また、残り半数の人たちの平均所得は一四八二レアルで、〇三年は一三三九レアルだった。
所得格差を示すジニ係数(最大一、最小〇)は昨年〇・五四一ポイントで、〇四年の〇・五四七、〇五年の〇・五四三とわずかながらも低下が続いている。しかし、格差は依然として大きく、昨年、最貧困層の一〇%が所得の一%を占める一方、最富裕層の一〇%は四四・四%を占めた。〇四年は四四・七%だった。
また、所得格差は地域格差も色濃く反映している。所得が最低賃金の家庭は全体の一二・七%だったが、北東部は二五・三%、南部は七・六%、全体の三%を占める最低賃金の二十倍の家庭は北東部一・五%に対し、南東部は三・八%と二倍を超えている。ルーラ政権の四年間で低所得層の所得は改善されたが、格差縮小にはほど遠い現状が伺える。