ニッケイ新聞 2007年9月21日付け
さきごろ作品選考が終わった第四回海外日系文芸祭の入選者をみて、学生の部」に関心を持った。海外については、アメリカに次いでパラグァイの入選者が多かったからである▼アメリカの場合は、どうやら「日本語学校」でなく「日本人学校」の生徒たちの応募者が比較的多く、入選も多かったように見受ける。ところが、パラグァイは、校名、地域をみると、明らかに「日本語学校」の子供たちが短歌、俳句を、課外かどうか分からないが、勉強し、成果をあげている▼日本語学校数、日本語を学ぶ生徒総数からいえば、ブラジルはパラグァイとは、比較にならないほど多いに違いない。にもかかわらず、おそらく応募数も少なかったのであろう、入選者も僅少であった。それも非日系人の名であった▼ここは、やはりブラジルの日本語学校ではあまり俳句、短歌を日頃指導していない、とみるほかはないようだ。日本語教育のあり方を言っているのではない。指導しなくても、日本語教育はすすむ。ただ、課外でもいいから取り組めば、少なくとも「日本語の幅」が広がる。途中で止めても、日本語文芸にはこうした分野もあるのだ、といった記憶や知識は残るだろう▼コロニアの一部の俳誌主宰者に「こども俳句」を指導し、発表の場を提供している人がいる。しかし、参加者は少数だ。日本語学校で指導を行うには、教師がまずその気にならなくては出発がない。時間的な余裕と関心が持てたら、まず遊びで始めてみたらいかが。(神)