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伯議会の米国追従を批判=チャベス大統領来伯=Mスル加盟遅れに失望=11月までは待つ

ニッケイ新聞 2007年9月22日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】訪伯中のチャベス・ベネズエラ大統領は二十日、米国への追従を慮るあまりベネズエラのメルコスル加盟承認が遅れ、ブラジル議会は率先性を欠くと批判した。同大統領は米帝国主義に対抗し得る確信があるし、メルコスルへはお情け加盟ではなく、名誉ある加盟を期待すると述べた。マナウス市の歓迎式典でルーラ大統領は遅刻し、会場の裏口から入場した。チャベス大統領のブラジル批判は、ブラジル議会が米議会に吹き込まれたオウムと呼んだのに続き二回目である。
 南米の異端児とも呼ばれるチャベス大統領は、伯ベネズエラ関係修復と南米エネルギー構想を詰める会議に出席するため来伯した。同国のメルコスル加盟は、十一月まで待つ意向らしい。ルーラ大統領は同加盟をアモリン外相に一任、記者会見も避けた。
 ベネズエラのメルコスル加盟に関する書類は、下院外交委員会で止まっている。チャベス大統領は、ブラジル議会への失望と困惑を露にした。もしベネズエラの加盟が拒否されるなら、米国の謀略が勝ったのだと皮肉った。
 ベネズエラはブラジルに対し、礼儀を尽くした。ブラジルの対ベネズエラ輸出は、順調に伸びた。これは同国政府の政治的配慮による成果であって、偶然の結果ではない。同大統領に三人目の孫が、妊娠した。九カ月すれば元気な孫が生まれるか、死産のどっちかだ。一定期間が過ぎれば、物事はどっちかに決まるものだという。
 外務省によれば、ブラジル政府はベネズエラとコロンビア、コロンビア革命前線(Farc)と等間隔を保つ姿勢を示唆した。ブラジル政府はコロンビア政府に対し、Farcとの仲介役を示唆。またベネズエラとFarcの接触では、会見場所の提供を申し出た。
 Farcに拉致された四十五人のコロンビア兵とコロンビア刑務所に服役するFarcのゲリラ五〇〇人の交換仲介に、チャベス大統領は意欲を燃やしている。南米の紛争解決に賭けるチャベス大統領の積極性には、ブラジルも協力する意向を表明した。
 伯ベネズエラ両国は最近、腹心ボリビアのモラレス大統領のことで重い空気に覆われていた。ルーラ大統領によれば、伯ベネズエラ両首脳は弱者の味方を旗印とする国家建設を志して誤解され、同病相憐れむ仲だという。
 チャベス大統領の訪伯を機会に、ペトロブラスとベネズエラ石油公団(PDVSA)は合弁事業で株保有条件の調整を行った。合弁事業は、ペルナンブッコ州の石油精製所建設とオリノコ川の油田探査だ。同計画はペトロブラスが乗り気であったが、PDVSAが棚さらしにした。
 チャベス大統領は、棚さらしをウソだと反ばく。ペルナンブッコ州石油精製所の株式六〇%の保有要求を、ペトロブラスが無視したことへの報復だというのだ。同大統領は、ブラジルの優柔不断で不満がうっ積しているらしい。
 最終的にブラジル内の事業はブラジルが六〇%の株保有、オリノコ川のカラボボ鉱床がブラジル四〇%と決まった。南米ガス・パイプラインは、専門企業と契約を結ぶことで合意。南米銀行構想は空振り。最後にペルナンブッコとオリノコ両事業所は、ルーラ政権健在のうちに生産を開始することと発破をかけられた。