ニッケイ新聞 2007年9月22日付け
チエテ川沿いに十万本の植樹――。ブラジル・ニッポン移住者協会が主催する百周年記念事業の一つ「21世紀の森作り」全伯キャンペーン。それを組織・運営する中央植樹委員会(小山昭朗代表)がこのほど、NGO団体のオイスカ・ブラジルと共同で、サンパウロ市チエテ川沿いのエコロジコ公園内に、今後四年間にわたって十万本の自然木を植樹するプロジェクトをたちあげた。小山代表は「これは実現可能な企画。長期的な視点で百周年を祝う記念事業になりそうだ」と胸をはずませている。
プロジェクトは今月十七日、同地を管轄する州の水資源・エネルギー局(DAEE)と正式な契約書がかわされたお墨付きもの。「これで国内はもとより日本の諸団体、各種基金、企業などから協力が得られやすい条件が整った」と小山さん。
十万本の植樹を予定しているのは、サンパウロ市アイルトン・セナ街道とヅトラ・リオ―サンパウロ街道沿いにあるエコロジコ公園内の一角(百ヘクタール)。「空港に近く立地もいい場所で、将来的にはイビラプエラ公園につぐ市民の憩の場になる」(小山さん)。
プロジェクトの予算は約二百五十万レアル。植樹場所の整地や区画につかう大型機器や人件費などが中心で、苗自体は同公園内で育てられているものを有料で分けてもらえるという。
説明によれば、同公園は広大な森にくわえて、サッカー場やテニスコート、レストランなどがあるレジャー地になっている。森には家庭で捨てられたペットなども保護されており、毎週末には家族連れを中心に約六万人が訪れる。
植樹は来月にも始めたい意向で、公園が推薦するブラジルの自然木、七十五種類から選択しておこなう。植樹の際には近隣の住民の手を借りる計画で「そうするとイタズラもされなくなり、木を自分達のものとしてかわがってくれるようになる」と説明する。
苗を買ってくれた企業や団体には、その名前など記した札も立てる考え。また来年の移民百周年で来伯する日本からの各界の来賓には、空港から立ち寄る形で、記念の植樹をしてもらう案もある。
このプロジェクトは、同植樹委員会が全伯規模ですすめる「21世紀の森作り」キャンペーンの模範だという。同キャンペーンは全伯約五百ある日系団体によびかけて、今後、合計五万本の植樹を目標にしている。
このほか同委員会メンバーの中沢宏一宮城県人会会長は「各県人会に協力してもらって、公園の一角にそれぞれの県木を植えてもらうのはどうか」とも提案。小山さんも「植樹する場所は自然木のみと決まっているが、公園の他の一角を用意してもらって、日本庭園などの形で、せっかくだから桜やイッペーを五十本ずつでも植えられたら」との希望ももっている。