ニッケイ新聞 2007年9月22日付け
ブラジル日本文化福祉協会(上原幸啓会長)の定例理事会が十九日晩に行われ、赤字運営の国士舘大学スポーツセンターの一部の使用権を地元団体に依託する検討を、二十九日に行われる評議員会で提案することなどを決めた。中島エドアルド事務局長の訪日研修報告では日系社会活性化ビジョンが語られ、上原会長は年末のサンシルベストレのマラソンは特別に「日本移民百周年」が顕彰される予定だと発表した。地方団体の代表者も出席し、「今まで疎遠だった。地方との関係を見直すべき」との意見が次々に出された。
国士舘スポーツセンター運営委員長の栢野定雄氏は理事会に対して、同センターの一部の使用権を地元団体に委託する件を評議員会にかけることを提案し、異論もなく承認された。
ここ数年、大幅な赤字削減の努力が行われてきた。それでも昨年、同センターは約五万レアルの赤字を計上。今年就任したばかりの栢野委員長はこの点を問題視し、主な利用者である地元日系関係者に運営団体を新しく作ってもらい、そこに依託する方向を打ち出した。
「すでに地元団体と協議を始めた」ことを明らかにした。同センターの年間運営費は約十二万レアルであり、「もし二百人が毎月五十レアルずつ払えば、十分運営できるはず」との試算をしめした。
次に、中島エドアルド事務局長はJICA訪日研修(四十五日間)で考えた日系社会活性化プラン「多文化的な日系社会を新たな日本とブラジルの掛け橋にする」を発表した。
栗田クラウジオ青年委員長から若者の団結を促進するイベント「REVI」の説明、豊田豊美術展委員長からも文協大総合美術展の経過報告も行われた。
地方団体と連絡を密に
最後に、地方から参加した各日系団体代表から厳しい発言が相次いだ。アチバイア日伯文体協の辻修平会長は「今まで何の関係もなくて会費を払えとか、選挙の時だけなにか言ってくる印象」と距離感を批判。「もっと身近に感じたいから言ってるんです」。
モジ文協の中山喜代治会長は「みな来年の話になると興奮して語るが、〇九年はどうなるのかという議論が足りない。もっと将来を見すえて、地方文協との連絡を密にして欲しい」と強い口調で注文した。
クリチーバ文協の山脇ジョルジ会長は「VIVA・JAPAOはパラナ州にとっても新しいモデルになる」とサンパウロ州教育局の取り組みを賞賛した。
聖南西文化体育連合会(UCES)の森エリオ会長はUNESPなどサンパウロ州立三大学が日系人の農業面での貢献などを調査していることを報告した。
川本イネス・レジストロ副市長と共に出席したリベイラ沿岸日系団体連合会(FENIVAR)の山村敏明会長は、「いろいろな百周年事業をやっているが、一番有意義なのは聖南西とリベイラが団結するなど、地域的なつながりが百周年の機会に強まったことだ」と語り、全員から拍手を送られた。
閉会の辞で上原会長は、カスペル・リベロ財団から先週連絡が入り、同財団が年末に主催する恒例行事サンシルベストレ・マラソンの顕彰テーマが「日本移民百周年」になったことを報告し、「これは日本移民やコムニダーデのブラジル社会への貢献が認められた証、コンキスタ(成果)だ」と讃えた。