ニッケイ新聞 2007年9月26日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】二十五日に開催される第六十二回国連総会に出席するため、米国を訪問したルーラ大統領は二十四日、ブッシュ米大統領と一時間にわたり首脳会談を行った。その中でブッシュ大統領は、世界貿易機関(WTO)多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)において、米国は農業補助金の削減に向け柔軟に対処する用意があると発言した。
「交渉が合意に達するよう、特に農業問題について米国は柔軟に対処することをルーラ大統領に保証する」とブッシュ大統領は会談後の共同記者会見で述べたが、削減幅は明らかにしなかった。
ルーラ大統領はブッシュ大統領の発言を歓迎したが、まだ多くの障壁があり、合意に至るには多くの国々の協力が必要であると強調した。「中国、インド、南アフリカ、メキシコ、欧州連合(EU)や日本を説得するため、ブラジルは合意達成に必要な手を打ちたい。説得できれば合意を実現できる」と述べる一方、「近日中」の実現を期待すると、交渉の先行きを楽観視する姿勢も示した。
さらにルーラ大統領は、環境問題でもブッシュ大統領は譲歩する「用意」があると述べた。「(環境問題については)我々すべてに責任がある。地球環境に配慮しなければ全員が損失を被るので、誰が環境破壊の犯人か追及している場合ではないと思う」とし、ブラジル政府はアマゾンの森林破壊根絶という役割を担っていると主張した。
アモリン外相は、農業補助金削減というWTOの勧告に従うとブッシュ大統領は約束したが、見返りとしてブラジルは工業製品の輸入促進のための市場開放に「柔軟性」をみせるよう求めたと、首脳会談の細部に触れた。「米国の提案は行き詰まったWTO交渉を打開するには十分」と評価した。
先週、米国の使節団がジュネーブで、WTOの提案する一三〇億から一六四億ドルの範囲の農業補助金削減を受け入れる可能性を示唆したが、今回の首脳会談でブッシュ大統領は使節団の意向を公式に認めたことになる。アモリン外相は二十五日にも、シュワブ米通商代表と会合を持ち、削減について詰めの調整を行う予定。
ルーラ大統領は二十四日、ブッシュ大統領のほかポーランド、チェコ、韓国、東チモール、ドイツの首脳とも会談を開き、ドーハ・ラウンドなどについて話し合った。