ニッケイ新聞 2007年9月26日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙、エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】二十四日にリオデジャネイロ市で基礎教育課程の中退者防止策が発表された。これは最高四五六〇レアルの奨学金を提供するというもの。
対象は六年から八年の公立学校在籍者一五万人で、各学年で最高成績を修めた生徒に七六〇レアル、もしその生徒が全教科で最高点であれば一五二〇レアルの奨学金を支給するとし、一人の生徒が三年間トップであれば、八年生終了時に最高四五六〇レアルの奨学金を受け取ることになる。また、奨学金受給者には、専門教育や高等教育を受けた時点での市の公共機関でのインターン採用も考えられている。
これに対し、現場からは、教育の目的をゆがめる、成績の悪い生徒たちが中退するのを防ぐ効果はない(中退者の多くは成績不振者)といった声があり、リオ連邦大学教育学部教授も、「教育を施す時は、好成績者に報奨を出すべきではなく、また、成績不振者を排除すべきでもない」と貨幣価値に縛られた政策に苦言を呈している。
また、経済学者も、奨学金効果は貧困層には届かず、中流階級の子供たちが奨学金を手にすると予測している。その他、財源が定かでない、教師たちへの圧力が高まるといった懸念もある。
生徒たちの希望をかきたてるのか、失望感を強めることになるのか、効果の程も先行きも不明の中退防止策だが、この案の発表を受け、リオ市教育局の電話は鳴りっ放しだったと言う。