ニッケイ新聞 2007年9月26日付け
「人の食べものを車(自動車)に食わせる余裕があるのか」――こんな激しい論調もある。バイオ燃料をつくるために、競って穀物をアルコール化しているこの世の現状に対する怒りである。尤も、儲けようという事業欲がなくならない限り、余裕があろうとなかろうと、アルコールづくりに走るのが人間に違いない▼石油を燃料に車を走らせたり、機械を動かしたりすれば、二酸化炭素の排出が増え、ひいては地球温暖化に拍車をかける、だから石油を燃やさず、燃料をバイオにかえれば、二酸化炭素は穀物栽培の際吸収されてしまう、だから差し引き増えないという勘定もある。この説は、全部正しくはない。特に前半の部分は、論調の大勢を占めてはいるものの、異論もあるらしい▼「地球温暖化は、地球の長い歴史の中で、現代が、たまたま太陽の光が強くなっている時期なのだ。そのうち、冷えがくる」というものだ。現代はあの恐竜が繁栄したころの気温に近いといった見方もあるようだ。だとすれば、恐竜が死に絶えた冷温もありうるのか。南極や北極の氷だって溶ける一方ではない、氷結の周期があって、海水も止め処なく上昇はしない、と。私たちは何を信じたらいいのか…▼バイオ燃料製造がカネになるので、大規模農業者は、現にほかの作物から、玉蜀黍や砂糖キビ栽培に切り替えている。そういえば、わがブラジル国内の食料の値段もじわりじわり上がっているような気がする。食糧を車に与えているせいなのだろうか。(神)