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87の法学部に問題あり=教育省、改善指導へ=最後の手段に学部廃止も

ニッケイ新聞 2007年9月28日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十七日】教育省は全国で一〇〇〇を超える大学法学部のうち、五一〇学部に在籍する学生の学力評価を行った。その結果、八九の学部で十分な教育が施されていないとして、監督・指導の対象にするほか、改善がみられない場合は定員削減や学部廃止の措置を取る方針を示した。
 学力評価は、今回初めて全国学力試験(Enade)とブラジル弁護士会(OAB)の試験の二つを使って行われた。OABの試験は弁護士資格取得と、サンパウロ州では裁判官と検事の採用試験受験に必要。
 Enadeの評価は五段階で、八九学部は一と二の評価を受けた。そのうち三七学部はOABの試験の合格率が一〇%を切り、五学部は合格者がゼロだった。教育省によると、三七学部は毎年約三万七〇〇〇人の卒業生を送り出している。
 ハッダド教育相は、八九学部は十日以内に問題点と対策を示した報告書を提出しなければならず、内容が不十分な場合は二〇〇九年までに学部廃止の行政措置を取ると述べた。しかし同相は、教育レベル向上のため大学側と緊密な関係を築きたい、学部廃止は過去になく、今後もないと信じていると付け足した。
 OABのラヴェネレ代表は、問題のある学部の学生が大学に改善を求めていくことを期待すると記者会見で述べた。弁護士資格もとれず採用試験も受けられず、何の役にも立たない授業に高い学費を払わされていると現状を批判した。
 ブラジル消費者保護協会(Idec)は、私立大学の課程は教育サービスの一種で、消費者である学生は損害を受けたとみなせば訴訟を起こして、損害賠償を請求できるとしている。
 OABは今年に入ってから、法学部新設認可に関するOABの勧告の一部を受け入れなかったとして、法学部の評価にさらに厳しい基準を設けるよう、教育省に圧力をかけていた。毎年、平均で六〇学部の新設が認可されている。教育省は来年実施予定だった評価を一年前倒しし、今年に実施した。
 教育省の指導対象となった大学の代表者の多くは評価に疑問を呈しながらも、指導に従って教育水準の向上に取り組むと話した。