ホーム | 日系社会ニュース | ◇文協・移民史料館◇=栗原氏が運営委員長に就任=5カ月の空席経てようやく=「日系社会の大きな財産」=09年に黒字化、13年に財団へ

◇文協・移民史料館◇=栗原氏が運営委員長に就任=5カ月の空席経てようやく=「日系社会の大きな財産」=09年に黒字化、13年に財団へ

ニッケイ新聞 2007年9月28日付け

 今年四月の文協会長選挙後の人事再編から、約五カ月間も空席になっていたブラジル日本移民史料館の運営委員長が、ようやく決まり、二十七日午後記者会見が行なわれた。新しく専任された運営委員ら三人と上原幸啓会長が会見に臨み、直近、中期、長期の活性化計画を紹介し、ゆくゆくは史料館の財政を黒字化させ、財団法人化すると発表した。
 「清水の舞台から飛び降りたつもりで」と運営委員長に就任したのは、〇五年から文協会長補佐を務める栗原猛氏(65歳、東京都出身)。石川島播磨メルコスール代表(サンパウロ市)を九八年から〇四年まで務めていた。事務所は同〇四年に閉鎖したが「ブラジルが好きで」残った。「元気なうちはこちらでお手伝いしたい」と笑顔を浮かべる。
 ブラジル駐在は三回目で、計十五年間を過ごした。名だたる駐在企業の代表として、今まではコロニアとは縁遠い存在だったが、移民の歴史や日系社会への関心は高く、関連書籍を読むことも多いという。
 栗原運営委員長は「史料館は貴重な財産。日系社会のみならず、ブラジル社会、日本にもその存在を再認識してもらえるよう働きかけたい」との強い意気込みをみせた。
 目標としては〇九年四月までに黒字を確保し、一二年までに史料のデジタル化を終わらせ、翌一三年には財団法人として独立させる。この方針は、二十六日晩の常任理事会ですでに承認されている。
 栗原氏は、「まずは手の付けられるところから始める。今年いっぱいで計画の細部を詰める」という。
 「史料は貴重なものだから、やり方を考えれば金儲けも可能なはず。黒字化は十分できる」とし、「来年は史料館創立三十周年でもある。早急になにか記念事業を考えなければ」と先を見通す。
 副委員長に就任した関根隆範さん(前文協副会長)も「自分も移民。百周年にたくさんの偉い人が日本から来るだろうから、充実した展示や事業を展開できるように準備をしたい」と熱く語った。
 山下リジア副委員長も「若い人たちが関心を高めやすいようにデジタル化をすすめ、移民の子としての責任を果たしたい」との抱負をのべた。
 栗原氏は、今までは会長補佐として裏方から支えてきた。絶大な信頼を寄せる上原会長は「これから本腰を入れますから」とにっこり。栗原運営委員長の干支は馬。「馬はそう簡単にはしりぞかないんですよ」と自信のほどをのぞかせた。