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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年9月28日付け

 日本政府による〇七年度百歳表彰の対象がさきごろ発表された。在伯公館の呼びかけに応じて名乗り出た人たちを合計した三十八人、全員が日本人一世である▼すでに百歳を越えている人たちを加えると、日系社会の「百歳以上」は五十人に近い数になろうか。現在の一世人口を六万五千から七万人と推計してみると、百歳以上は〇・〇七%前後となる。世界でもトップクラスの長寿国である母国日本の百歳以上は、〇六年度約十六万八千、総人口を一億二千七百七十万人とすると、比率は〇・一三%程度。比較に無理があるのを承知でおおざっぱにやると、比率はブラジル在住者のほぼ倍だ▼医療に関わる環境は、過去も今も、どうみても日本のほうが良好である。だから寿命が伸びる。ブラジル日系社会の百歳以上は過酷な農業の作業に従事してきた人たちがほとんどであろう。一世紀生き抜いてきたのはすごい▼八〇年代に〃脱農業〃がすすんで壮年層、中高年層もそうであるように、人口はサンパウロ市に一極集中気味である。今回の公館発表でも三十八人中三十三人がサンパウロ管内、うち二十人余がサンパウロ市圏在住者であった。この空気の汚染された町でよくぞ長寿を保ってきたと思う▼察するに、医者にかかったことが少ないだろう。長寿のDNAを持ち、食生活において巧まず毎日節度が保持された。折角ここまで来たのである。今後世の中がどう変っていくのか、よく観ながらさらに長生きを楽しんでいただきたいものだ。(神)