ニッケイ新聞 2007年9月29日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】サンパウロ市証券取引所(ボベスパ)は二十七日、外国人投資家の買い注文でヴァーレ・ド・リオ・ドーセ株が暴騰、株価指数は二・二四%上げ、ボベスパ空前の六万ポイントを超えて六万一〇五二・四ポイントにつけた。米経済の低迷と政策金利の引き下げで、外国人投資家が途上国へ活路を求めたものと思われる。活気が蘇ったブラジルの為替市場は、ドルを一・八四三レアルとした。一方では、国内市場の活性化によるインフレ懸念も見えてきた。
サンパウロ市証券取引所はアレヨアレヨと見守る中、株価指数六万ポイントのラインを突き破り、歴史的金字塔を築いた。ここ五日間に株価指数は四回も記録を更新、累計で月一一・七四%、年三七・二八%も上げた。取引高は六一億八七〇〇万レアルに達した。
圧倒的注目を浴びたのは、ヴァーレ株でPNA(記名優先株)が四・三三%上がり、ON(記名普通株)が四・一六%上げた。メリル・リンチによれば、鉄鉱石は二〇〇八年の契約から三〇%から五〇%の調整があるという。
快進撃するヴァーレ・ド・リオ・ドーセは、ペトロブラスと肩を並べようとしている。両者はブラジルの両横綱といえる。ヴァーレは、鉄鉱石のほかにニッケルがある。傘下には鉱山や鉄道、港湾を持ち、資産内容は超優良企業である。
ボベスパは二カ月間、金融危機のあおりで投資のリングから降りていたが、今は帰り咲いた。九月の上げ幅は一一・七四%で、二位の金二・五九%を大きく引き離した。八月のトップであった為替は、マイナス六・一一%となった。
米不動産ローン問題と政策金利の引き下げは、ブラジルに外国人投資家の大挙帰還という追い風をもたらしたようだ。ドルの怒とうがブラジルへ押し寄せ、レアルを引き上げた。
九月のインフレもIGP―Mが一・二九%となった。これは確定利付きファンドに加算され、今月は〇・七八%の配当とみられる。一〇万レアル以上のCDB(定期預金)は〇・六八%、五〇〇〇レアル以下のCDBは〇・五五%、DI(銀行間預金)ファンドが〇・六一%、カデルネッタ・デ・ポウパンサが〇・五四%、小口のDIファンドが〇・五%。
暗黒の八月は、ウソのように狂喜の九月へ変わった。しかし、祝杯を挙げるのは早い。米不動産ローン問題の傷跡は、まだ癒えていない。十月の企業決算が発表されれば、不動産ローンの嵐による損害結果が分かる。金融投資は、手持ち資金の一〇%位に留めるよう関係者が忠告する。
コンピューターの未来予測によれば、相場は上下へ肩―頭―肩と推移するのだそうだ。六一〇五二ポイントは、次に六二二〇〇ポイントの前で攻防戦を繰り広げ前進する。そして六五〇〇〇、六六〇〇〇へと進む。厳しい攻防戦があるのは七三〇〇〇ポイント。いつになるかは予測不可。
ニューヨークの証券市場は、ダウジョーンズがようやく一万四〇〇〇台に復帰し、七月のパニック前の状態へ戻ったようだ。しかし、まだ元気はない。投資家は、連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利再引下げを期待している。