ニッケイ新聞 2007年9月29日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】神の王国世界教会(Iurd)の創始者で大主教、そしてテレビ局レコルデの社主のエジール・マセド氏が二十七日、同局のニュース専用チャンネル「レコルデ・ニュース」の開設式で、テレビ局グローボの独占体制を間接的に批判した。
「情報の独占を続ける企業グループが存在し、我々は権利を侵害されている。独占体制に終止符を打ち、別のニュースチャンネルで情報を得る権利を人々に与え、自分の意見を持つことを我々は望む」と述べた同氏は、国内で初めてニュースを二十四時間、無料で提供できる新チャンネルの開設を誇りに思うと、「情報の民主化」を強調した。
式典後の記者会見で同氏は、独占企業とはグローボを指すのかとの質問に対し、「他の独占企業を知っているか」と切り返し、グローボであることを示唆した。
三〇分間続いた開設式には、ルーラ大統領を始め閣僚、キナリア下院議長、トゥーマ上議、グラシエ最高裁長官代理のフェレイラ第三地方連邦地裁長官、セーラサンパウロ州知事、カサビサンパウロ市長らが出席、大統領は同氏の横で、午後八時に放送開始ボタンを押した。サンパウロ州では四二チャンネルで放送される。
大統領とセーラ知事はともに新チャンネルの開設に歓迎の意を表明した。大統領は報道の民主化への貢献、知事は世論の多様化とニュースの地域化を強調した。大統領は、現政権は常に報道の自由を保障するとした公約を披露し、「自由を!自由を!」と国歌の一節を引用して演説を締めくくった。
一般放送でのニュース専用チャンネル開設は国内で初めて。有料テレビ放送ではグローボ、バンデイランテスがすでにニュース専用チャンネルを開設している。レコルデによると、開設に当り七〇〇万ドルを投資したという。
レコルデとグローボは一九九五年以降、衝突を繰り返してきた。九五年十月には、レコルデの番組でInurdの主教が聖像を足で蹴り、殴ったことをグローボが報道、カトリック教徒の反発を全国で引き起こした。同年、グローボは汚職にまみれた主教を連続ドラマに登場させたり、マセド氏が信者から金を巻き上げる裏ワザを牧師に教えていたテープを報道したりした。
九七年にレコルデはブラジル・テレビ・ラジオ放送協会(Abert)がグローボに牛耳られているとして、協会を脱会。〇二年には社会経済開発銀行(BNDES)の資金を使ってグローボの救済を準備していたとして、政府を非難していた。