ニッケイ新聞 2007年10月2日付け
戦後、シネマ屋として活躍したのち、洗濯屋や食堂経営をしながら「費用持ち出し」で芝居の活動をしてきた、小泉照男さん。演劇研究会の座長として、各地を廻りながら舞台を披露してきた。
八〇年代後半に同僚らが他界し、若い世代も出稼ぎに離れて一座は壊滅。それでも、小泉さんはコロニアの舞台に立つことをやめなかった。
「一人でもできることがある」。岡村淳さんの作品「お涙ちょうだい ブラジル移民のひとり芝居」は、そんな小泉さんの人生を紹介している。
「いかに生きるかを考えさせられる」と岡村さんは言う。「先輩方の姿を納めていきたい」と。
老人週間で同映像を観た女性は「数年後にはこれがコロニアの宝になる」と感想を話したが、確かに、小泉さんの生涯がコロニアの歴史の一部を作り、その記録は移住者の姿を伝える史料なのだろうと思った。(稲)