ホーム | 日系社会ニュース | 「移民の史料を寄せて!」=来年6月に本格展示を新設=プ・プルデンテ文協

「移民の史料を寄せて!」=来年6月に本格展示を新設=プ・プルデンテ文協

ニッケイ新聞 2007年10月3日付け

 【プレジデンテ・プルデンテ】家にある古い物をぜひ寄せてほしい――。プレジデンテ・プルデンテ農村体育文化協会(ACAE)の会館内で、新たな移民史料室の開設準備が始まっている。「図書室は本を読める人がいなくなったらつぶれるけど、展示室なら続いていくからね」。先頭を切って史料収集、整理を進めている野村いさをさん(75)は、各家庭に残っている古い新聞や雑誌、家具、道具などの提供を呼びかけている。
 史料室開設のきっかけは、文協内に設置されている図書館への寄付本を受け取りに行った際に、手動の粉挽き機や殺蟻剤注入機などが処分されそうになっていたこと。
 「日本人は『もったいない』と、いろんな物を大事に仕舞い込む。きっと他にも移民の生活を残す史料は多く眠っているはず」と野村さん。
 移民七十周年のころから史料室を作りたいと考えていた野村さんは「百周年もあるし、捨てられる前に集めなければ」と、一年ほど前から史料収集を始めた。
 年代物の野球優勝旗、手作りの囲碁盤、手回しの蓄音機、戦前の日本語教科書、炭火のアイロン、サンパウロ学校の卒業写真、ラジオなど、一年間に寄せられた史料を図書館横の一室に並べて、簡易展示室を設けた。
 「何が史料になるかわからない。訪れる人に見てもらうと、『あ~、うちにもあるよ』なんてことがよくあるんですよ」(野村さん)。
 これまでに何点集まったのかは定かではないが、簡易展示の一室では手狭になりつつある。野村さんは、文協事務所の上にある広いスペースを史料室に整備し、来年の六月にイナウグラソンをしたいという構想を話した。
 「壊れていても構わない。ぜひ家庭にあるものを寄せてほしい」。史料の寄付を呼びかけている。連絡、問い合わせについてはACAE(18・3223・2267)まで。