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衰運の米国に竿を差せば=グローバル・システムは終わる

ニッケイ新聞 2007年10月10日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】ノーベル経済学賞を受賞したエドムンド・フェルプス博士が派生金融商品会議で、ブラジルは米国の経済回復など無視するよう忠告した。一国の経済が他国の経済によって興廃したことは、過去の歴史にないという。
 津波がくると、全ての舟が持ち上げられるというのは、経済では通用しない。米国経済は一九二〇年から一九四〇年、全盛時代を迎えた。欧州経済も一九五五年から一九八〇年、伸びた。しかし、それによって恩恵を受けた国はない。経済学の異説と思われるが、事実であると述べた。
 米国経済が復活すれば、ブラジルの輸出が急増する。しかし、ブラジル全般には恩恵をもたらさない。米国が公定歩合を引き上げれば、各国もそれに倣う。企業の競争力を殺ぎ、活力を弱める。ブラジルの経済政策は正しいが、社会政策には問題がある。
 一部経済学者が、減税を実施し社会福祉も縮小せよという。経済の活性化にマジックはない。減税実施や福祉縮小をしても、経済の問題は解決しない。
 米不動産ローンの焦げ付きが、金融危機の根本原因ではない。米国は他国にモラルの向上を要求するが、自国では実行しないのが金融危機の原因である。米国は長期間、現在のような金融経済という非生産的な経済システムを続けることはできない。
 通貨の流通量を適性水準に調整し、金融経済から生産経済へ帰るべきである。実の経済に見合う金融市場のあり方と経済の管理機関の設置を米政府は、検討すべきである。
 現行の世界経済発展は、いつか終焉する。グローバル・ブームが、永遠のシステムとは思えない。盛者必衰の法により、いつか終わりの日を迎える。
 中国経済は意気揚々としているが、自ら価値を生み出し自活するダイナミック
経済とはいえない。ただチャンスを捉えて、文革時代の失われた時間を取り返しているだけだという。