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電力危機は必定だ=危機を前に無為無策の政府

ニッケイ新聞 2007年10月10日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】近年エネルギー不足が起きる可能性は、益々高くなった。政府の計画通り二〇一〇年まで経済成長率五%の割合で発展を遂げるには、エネルギー供給を至急増やす必要がある。しかし、エネルギー政策は座礁したまま動きそうにない。
 水力発電所の建設計画は、休眠状態にある。経済活性化計画(PAC)は、ブレーキがかかったまま動いている。供給不安定なガスのため火力発電所は、過剰需要で茨の道を行く。政府内は勢力争いで、エネ問題まで手が回らない。
 勢力争いは二〇〇三年、第一次政権のペトロブラス(以下PB)人事に始まる。ロウセフ官房長官が鉱動相であった時から、PB人事は党内抗争の種であった。官房長官は、ルーラ派のザウエル動力局長とウマが合わなかったからだ。
 ザウエル局長には、PBガブルエリ総裁も加担した。鉱動省案ではPBが、火力発電所へのガスを安定供給する筈だった。しかし、火力発電所へのガス供給は、PBの管理と権限で決めるとした。これは水力発電所が、降雨不足のときだけガス供給をするという意味になる。
 鉱動省には、この不都合を訂正する政治力がなかった。その後政治圧力でPBは、ガス供給を義務つけられたが、供給サボを行いエネルギー庁から罰金を科せられ渋々応じた。
 PBはイヤイヤながらもガス供給をしているが、安定供給の保障はない。鉱動省とPBの確執は、いまも続いている。官房長官は最近、ザウエル局長の左遷に成功したようだ。官房長官の配下を送りこむことでガス供給は解決しそうだ。
 ところがPBは、鉱動省をなめている。PBは民間企業同様に、投資家への配当と期間営業益、政府の政治政策に配慮する必要がある。鉱動省にハイハイといっていられない。
 ルーラ大統領の顔色も、秋の空のようだ。PBと官房長官のケンカとなれば、どっちの首が飛ぶか明白である。大統領が側近を呼んだとき、即時跳んでこなければカンシャク玉が破裂する。側近は、オチオチ小便もできずビビっている。
 重大政策が未解決で長期間放置されると、大統領が烈火のように怒ることは誰も知っている。電力システムのオペは九月十一日、火力発電所の稼動強化とガス供給は戦略の要であると大統領に報告した。しかし、ガス政策不在のため同戦略は機能不全にある。大統領の時限爆弾は、カウントダウンに入った。