ニッケイ新聞 2007年10月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十月一日】CNI調査によれば、忍び寄るインフレに不安を感じていると消費者の五五%が答えている。今年のインフレ目標率は四・五%だが、関係者の予測では黄信号を発している。来る六カ月のインフレは,二〇〇五年三月以来のインフレ率であり、肌身に感じるという。
ブラジルの経済指数が全般的に良好なので、まだインフレが消費者に否定的印象を植え付ける程ではない。消費者は、まだインフレ亢進を理由に生活を調節する考えはない。今のところインフレは、悪性ではなく企業は安堵している。
黄信号を発した関係者は、九月下旬のインフレ現象について二つの点を指摘した。一は、IPEA(応用経済研究所)の第3四半期報告である。二は中央銀行の報告である。両方とも警報ではないが、上昇傾向にあることを認めた。
今年と来年は、大事件のないかぎり消化できるインフレ率に留まる。天下泰平の時代が続けば、二〇一〇年までインフレ率は五%位で行く。政府の垂れ流し経費が続き、インフレ政策が緩慢なら要注意である。
消費者指数は、第3四半期で一〇四・八ポイント。前期比で一・二%後退、前年比で五・二%の後退した。同指数が一〇〇ポイント以上を保っていれば、市場はまだ健全と考えられる。しかし、懸念されるのは、インフレ亢進が食品であったことだ。
ハイパーインフレのトップをきったのは、食品である。言い換えるなら当時、サラリーマンがやせ細る一方で食品投資はボロ儲けをした。インフレは、ゼロサム現象を起こす。インフレが悪夢になっている人と、わが世の到来とこう踊りする人もいる。
低額所得者はここしばらく安堵し、食べた上少しの貯蓄もできた。ルーラ大統領の再選には、この生活の余裕が手伝った。労働市場にも、この影響がある。新規雇用には否定的答えが多く、現職にしがみつく傾向がうかがえる。
一般消費者は、働いてさえいれば食っていける。生活は、保障されると思っているらしい。低額所得者にとっては、制御されたインフレ期が就職と生活向上のチャンスであった。インフレの嵐から救われた、平和な時代であったのだ。
調査に応じた人の七〇%は、現状に満足。九%はこんな時代が永遠に続けばと祈っている。インフレが亢進しても生活水準は、四九%が現状維持。二三%は、ぜい沢志向。これは政府経費の予算管理次第で、生産も消費も順調に伸びるということではないか。