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15周年迎えたCIATE=20日に記念シンポジウム=来年サンパウロ市でデカセギ大会

ニッケイ新聞 2007年10月11日付け

 CIATE(国外就労情報援護センター、二宮正人理事長)が今年、設立から十五周年を迎えた。記念事業として十九日に記念式典、二十日に各分野の専門家による記念シンポジウムをニッケイ・パラセホテルで行う。
 一九九二年十月二日に設立したCIATEは、これまで八千九百四十五人の求職に対応し、三万一千七百九十一人の相談を受け付けてきた。実際にCIATEを通して出稼ぎに向かった人は、三百五十六人。
 無料で実施している日本語講座では、今年四月から九月までの半年で四百五十七人が参加し、研修(事前、合同を含む)には四百人が集まった。
 「出稼ぎ者も様々な情報網を持つようになって、CIATEに基本的なことを聞きに来なくなってきた」と二宮理事長は、現状を説明。相談内容では、年金問題、日本語教育、税金のことなどが多いという。
 同センターでは二、三カ月おきに各地の文協やSEBRAEと協力して出張講演を実施。また、三年前からデカセギ大会と称して専門家の経験を伝える講演会を、マリンガ、カンポ・グランデ、ベレンで始めている。
 巡回研修やデカセギ大会の開催。またSEBRAE(零細企業支援サービス機関)との協力関係締結に向けた努力なども進める。「座っているだけでは何にもならない。外へ出て行くように心がけている」と同理事長は話す。
 SEBRAEとの関係では、「CIATEの経験や人材ネットワークを提供して、これまで以上に掘り下げた内容で、プロジェクトを組んでいきたい」。十九日の記念式典では、サンパウロ支部との間で事務レベルでの協力関係締結を開始するための、覚書の調印を予定している。
 「来年の百周年には、サンパウロでデカセギ大会をやりたいと思っています」と二宮理事長。「今は、十五周年に向け全力で準備中なので、ぜひ多くの方に来ていただきたい」と抱負を語った。
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 十九日の記念式典は原則、招待客のみ。南野肇・日本国厚生労働省大臣官房国際課長が「日系人就労者の現状と十五周年を迎えたCIATEに期待するもの」と題して記念講演を行う。
 二十日のシンポジウムは一般公開され、入場無料。エレーナ・ケイコ・サトウ・サンパウロ州衛生局免疫担当首席専門官や、日本から来伯する海老根一浩・警察庁刑事局組織犯罪対策部国際捜査管理官付課長補佐、SEBRAEのミルトン・フミオ・バンドー・サンパウロ支部デカセギ・プロジェクト主幹ら各分野の専門家が、保険、犯罪、ビザ、子弟教育、帰国後の起業など、出稼ぎ者を取り巻く様々な状況と対策を講演する。同時通訳あり。
 シンポジウムの日程は次の通り(講演者およびテーマ、カッコ内は肩書き、敬称略)。午前九時=エレーナ・ケイコ・サトウ(前記)「訪日ブラジル人に対する予防接種について」。十時=海老根一浩(前記)「日本におけるブラジル人犯罪の現状と対策」。十一時=結城恵(群馬大学教育学部教授)「在日ブラジル人の子供たちの教育環境―その現状と向上に向けた取組み」。午後一時=井口泰(関西学院大学教授)「動き始めた日本―外国人政策の改革と新たな課題―日伯協力の世紀に向けて」。二時=港偉夫(在サンパウロ日本国総領事館領事)「在サンパウロ日本国総領事館における査証発給状況について」。三時=尾崎正利(青森中央学院大学教授)「日本における移住労働力受入体制の再構築」。四時=ミルトン・フミオ・バンドー(前記)「サンパウロ州におけるデカセギ・プロジェクト」。五時=特別講演、呂比須ワグナー「私の人生の軌跡―日本での習練と成功」。六時=アトラクション。