ニッケイ新聞 2007年10月11日付け
地方の日本語学校で行われたお話発表会を訪れた。作文を書いて、必死に覚え発表会に臨んだ子供たちがほとんどだった。ドキドキで臨んだ子供たちだろうが、それ以上に緊張していたのは父兄と教師たちの方だろう。
壇上に自分の子供が上がるや否や、すぐさまカメラやビデオを構える。微笑ましい姿だ。しかし、緊張のあまり話す内容を忘れて立ち尽くすと、子どもたち以上に青ざめているのは父兄たちのほうだった。
この場から逃げ去ってしまいたい、とも取れるような表情で我が子が思い出すのを何もできずひたすら耐え凌いでいた。時間にして数十秒もないだろうが、周囲にとっては緊張した時間が過ぎ、子供たちは何も無かったなような平然とした顔をして帰っていった。
発表者が去って会場に残された父兄たちの疲れ果てた顔が、興味深いものだった。 (坂)