ニッケイ新聞 2007年10月12日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】混迷を極めている上院。暫定金融取引税(CPMF、通称小切手税)の無修正のままでの年内上院通過がなければ予算達成は困難と、政府側は増税と支出カットをちらつかせ始めた。
マンテガ経済相の十日の発言によれば、CPMFが現状のまま継続徴収できない場合、既存の税の税率アップと経済活性化計画(PAC)による支出をカットすると言う。税率アップの対象として具体的に考えられているのは金融取引税(IOF)と輸出税(IE)だが、経済相は、新税の可能性もほのめかした。ただし、新税の場合、国会での審議、承認が必要であるため、CPMFの徴収が中断された場合に発生する三〇億レアル/月の欠損を埋めるためには間に合わない。また、CPMFの延長承認が来年になった場合、承認から執行開始まで三カ月を要するため、その損失額は、二〇〇億レアルに及ぶ可能性もある。
この発言に対し、サンパウロ州工業連盟のスカフィ氏は、「国民はそれに見合う公共サービスを受けることなく重税にあえいでいるのであり、これ以上の税の新設や税率アップは受け容れられない。政府は国民同様に、収入にあわせて支出を切り詰めるべきだ」と発言。なお、統計による今年度の税収は、八月までに前年同期比三七三億三〇〇〇万レアルの増収となっており、来年度のCPMFによる税収四〇〇億レアル相当の増収を既に得ている。
現在のところ、上院の審議日程は停滞しており、CPMFの年内承認は非常に困難である。また、承認に必要な賛成票確保にも不確定要素を残している。