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今度はサンタンデール銀行に=レアルを合併、名称変更へ=南銀口座は流れ流れて=どうなる日系社会支援?

ニッケイ新聞 2007年10月12日付け

 木の葉のように舞う元南米銀行口座はどこへ――。かつて唯一の日系銀行だった南米銀行はイタリア系のスダメリス銀行に吸収され、今年九月にはそれがレアル銀行に完全吸収されたばかりだったが、今度はサンタンデール銀行に買収されることが確実になった(九日、十日付け本紙二面で既報)。しかも、再編後の両行の行員数は五万四千人にものぼるため、二万人を大量解雇するとの憶測まで流れている。レアル銀行まで受け継がれてきた日系社会支援の伝統はどうなるのか。今回の買収の経過を追った。
 南米銀行の口座を引き継いだスダメリス銀行は一時期、ブラジル国内資本のイタウー銀行に買収されそうになったが、結局は大手オランダ系のABNアムロがスダメリスを買い、この九月に同アムロ傘下のレアル銀行がスダメリスを完全吸収したのは記憶に新しい。
 ところが先月末のルーラ大統領スペイン訪問時から「サンタンデールがABNアムロ買収を確実にした」との報道が出始めた。
 レアル銀行がスダメリス銀行を完全吸収する前には「口座維持費や手数料は変えない」「解雇をしない」「日系社会への協力は以前と変わらない」などと丁寧に説明があったが、今回はとくに広報はない。
 十一日付けフォーリャ紙によれば、サンタンデールは株主に対して、レアル銀行という名前は三年以内に消滅し、一本化される予定だと説明している。この名前を、南米全体の統一した名称として印象付ける戦略が立案されている。
 さらに同紙はサービス料金体系を比較し、「サンタンデールが徴収するサービス料金のかなりの部分はレアル銀行よりも高い」と評価している。
 同記事内には、ブラジル中央銀行の調査ではサンタンデールは八月に二百六十三件もの苦情をうけ、同ランキング二位という不名誉な成績だったが、レアル銀行は百四十三件で八位だったとある。
 アジェンシア・カマラ(連邦下院通信)によれば、九月二十七日に下院両行の合併問題の聴聞会が行われ、質問にたったダニエル・アウメイダ連邦下議は「二万人が解雇される恐れがある」との危機感を表明した。サンタンデールはブラジル内に二万三千人、レアル銀行は三万一千人の行員を雇っている。
 南米銀行時代から生き残っている日系行員らの行く末には、まだ不透明な霧がかかっているようだ。
 国内七位のサンタンデールが同五位のABNアムロ・レアル銀行を買収したことにより、一位のブラジル銀行、二位のブラデスコに次いで、一気に国内第三位に躍り出た。
 ニッケイ新聞が十一日午後にレアル銀行広報担当部署に、今後の日系社会支援に関して問い合わせをしたところ、「我々もまったく情報がない状態。日系社会に関してはおろか、いつ名称変更がされるなど、今現在はまったく分からない」とのことだった。
  □基本的な図式□
 スペインのサンタンデール銀行を中心とするRBSとFortisのグループが七カ月間かけて、オランダ系のABMアムロ銀行を一千億ドルで買収する交渉を成立させ、世界的な金融再編を図った。
 これにより百八十三年の歴史を誇り、百五十三カ国に四千五百もの支店を持つ世界有数の巨大銀行ABNアムロは分割される。南米部分を統括するのがサンタンデール銀行で、ABNグループ傘下だったレアル銀行もその配下になる。