ニッケイ新聞 2007年10月12日付け
【既報関連】広島県が派遣した医師団七人(碓井静照団長=広島県医師会会長)によるブラジル医療関係者むけ被爆者医療研修が十一日午前九時半からサンタクルス病院で開かれた。関係者約百人が参加し、講演に耳を傾けた。
同病院の横田パウロ理事長は開会式で、「絶え間なく研究を続けてきた広島の医師たちに感謝を表します」と挨拶、「ブラジルには百三十人の被爆者がおり、その内の九十人が入院している」と現状を説明した。
研修の最初に碓井団長が研修概要の「平和への願い―被爆体験談と被爆者医療」をポルトガル語で作ったスライドを使用して講演した。その中で、団長自身が被爆者であることを説明。スライド上映では、全身にやけどを負った男性の写真にショックを受ける出席者もいた。研修ではこの他、「放射線の人体への影響」、後障害(がん、白血病、がん以外の疾患)」などをテーマにした講演も行われた。
医師団は十二日にブラジル在住の被爆者らと懇談、その後十五日にクリチーバの病院で研修を行う予定。
碓井団長はニッケイ新聞の取材に対し「被爆者はどこにいても被爆者。診察のために日本に来て貰うより、現地で診察が受けられるように努力したい」と現地化への抱負を語った。
在ブラジル原爆被爆者協会の森田隆会長は「これだけの医師の先生方に来ていただいて嬉しく思う」と話した。