ニッケイ新聞 2007年10月16日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】ノーベル平和賞を受賞した国連地球温暖化防止機関(IPCC)の科学者パチャウリ氏とアル・ゴア前米副大統領は十二日、ブラジルや中国、インドに対し自国の経済発展を優先し環境を犠牲にした先進国の轍を踏まないよう授賞式の式場から警告した。パチャウリ氏は、改めてアマゾン熱帯雨林の国際管理を提案した。ブラジル政府は単に森林伐採を制限するだけでなく、どのように環境対策を行っているのか、明確な線引きを求めると述べた。
国連は地球温暖化と異常気象の発生で原因を追求するため、気象委員会と環境委員会を立ち上げた。ジュネーブ本部には一三〇カ国から一〇〇人以上の専門家が集まり、五年ごとに結果を照合している。
ブラジル政府は、エタノールを生産するにあたり単位当りのエタノールが及ぼす影響を計画実施の前に分析すべきであると、パチャウリ氏が述べた。アマゾン熱帯雨林は最近、樹木の伐採により降雨量が減少している。
これには多くの反論があった。ジョビン国防相は、先進国が犠牲にしたのは環境ばかりではないと訴えた。アマゾンはブラジル固有の資産であり、他人がその管理で口を出す筋合いはないと反論した。ブラジルは、自分の所有物を大切に管理する。
排気ガスの排出量で途上国にも上限を設定すべきだというが、これは何年にもわたって先進国が引き起こした問題で、途上国に責任の一端を負わせるのは納得できないと糾弾した。
国連報告には、エタノール生産のためアマゾン熱帯雨林を伐採していると勘違いしているきらいがあるとロウセフ官房長官は非難した。ブラジルは十分なサトウキビ栽培用地を有し、同熱帯雨林を伐採する必要のないことが国連機関には理解できないようだという。