ニッケイ新聞 2007年10月16日付け
【エスタード・デ・サンパウロ十四日】かつて南米大陸の覇者を争ったスペイン(以下西国)が、ポルトガルに占有された地を経済進出の優先目標と定め、攻勢を仕掛けてきている。
先週の国道の競売で、西国企業が七路線の内六つを落札したこと、サンタンデール銀行がレアル銀行(ABNAmuro)買収を確実にしたこと(どちらも既報)は記憶に新しいが、これらは西国企業の躍進のほんの一端である。
実は、今回の流れは九十年代に次ぐ第二の波。第一の波では、テレフォニカがテレスピ(一九九八年)を、サンタンデール銀行がバネスパ銀行(二〇〇〇年)を買収したほか、エネルギー部門でもいくつかの電力配電会社を買収した。また、昨年の電力部門の競売でも西国企業が六区間のうち四つを落札したことは第二の波の一例である。
昨今では観光部門での進出も著しく、セアラー州のリゾートホテル二つの建設計画で二八億投資等、東北伯の不動産ブームは西国企業が引っ張っている。また、バイア州では一昨年から昨年にかけて観光客は二七〇%増で、ポルトガル人に次ぐ集客数となっているほか、六億をかけた施設建築計画も二件報告されている。この地域で欧州直結の航空路線が開設され、交通網が整備されれば、投資はもっと過熱すると関係者は語っている。
これら東北伯での西国企業の動きは、伯西関係緊密化の現れの一つ。また、ブラジルでの投資は安全で確実との認識が広がり、先週だけで食飲料品関係の一八社から引き合い等、関係機関へのブラジル情報提供を求める問い合わせは日増しに増えていると言う。