ニッケイ新聞 2007年10月16日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】二〇〇八年の穀類作付けが、大幅に増えている。これが全て順調にゆけば、農業生産者は飲めよ食えよの大判振る舞いである。農産物価格は、悪くない。過去一年間にドル相場で大豆が六〇%、トウモロコシが二二%の値上がりをした。
市場関係者は、この価格がしばらく続くと見ている。米国のトウモロコシ生産者は年々、作付けを拡張。エタノール生産に回し、飼料にはほとんど行かない。中国やアジア地域の穀物需要は、衰える様子がない。飼料用大豆粕の需要も増すばかりだ。
肥料製造協会(ANDA)は、二〇〇七年の注文が二四〇〇万トンと発表した。昨年比一四%増である。農機具製造協会(Abimaq)は、工場の稼働率が七月の二〇・五%から九月が七四・四%と報告した。コンバインの販売は、昨年比一一八%増。
農機具の需要増大には、メーカー自身が驚いている。往年の閑古鳥は、どこへ行ったのか。メーカーは、生産者の無計画性を心配する。注文は四カ月前にして欲しいが、作付けが決まってから飛んでくる。
二〇〇七年の収穫は、終わったばかりである。今年度穀類の生産は、一億三三八〇万トンで記録更新。来年度収穫でまだ植え付けてない大豆の一五%を先物市場で先売り、生産者は大金を受け取っている。
気をつけないと先払い金は、生産者の足かせになる。前金は借金と同じであり、それにドル安の底なし沼が待っている。さらにブラジル中央西部は、悪路の標本みたいなもの。また異常気象の制約から逃げることはできない。
今年の農産物好景気は、奇跡的に中央西部のお天気の神様が応援してくれたのだ。南東部は降雨が遅れ、時期を逸した。お天気の神様に、よく祈っておくことだ。価格はよし、気候がよければバン万歳である。しかし、一番笑いが止まらないのは、農産加工業と農産物仲介業者ではないか。