ニッケイ新聞 2007年10月17日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十六日】ブラジル中央銀行は十五日、記録的大型の海外投資を呼び込むため、敢えて多国籍企業の利益配当の海外送金を大幅容認する意向を表明した。ルーラ第一次政権の四年間、カルドーゾ前政権の三倍に上る利益送金が行われていることが判明した。
ルーラ第一次政権では、一〇ドルの海外投資に対し六ドルの利益送金が行われた。それに対し前政権では一〇ドルに対し、配当は僅か二ドルに過ぎなかった。ルーラ第一次政権に導入された海外投資は、合計で六二一億ドル、利益送金は三七八億ドルであった。
これだけ儲かれば、ブラジルは笑いの止まらない有望な稼ぎ場である。利益送金は、さらに大量の投資金を引き連れてくる。ルーラ第一次政権の利益送金は、カルドーゾ前政権の公社民営化に注ぎ込まれた資金の配当でもある。
ブラジル経済の興隆も、利益配当に拍車をかけた。多国籍企業は、ブラジル経済が安定したことで投資資金の短期回収を考える必要がなくなり、将来有望な部門へ長期投資をするようになった。有望部門は、エネルギーと自動車だ。
海外送金には、為替差益というメリットもある。ブラジルで儲けたレアル通貨で、本部の財政的窮状を救っている企業も少なくない。レアル通貨のメリットを生かした送金は、一一三億ドルに上っている。昨年同期比で三一%増だ。