ニッケイ新聞 2007年10月17日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】世界経済をけん引しているのは米国という機関車だけでなくブラジルも含めたBRICSという機関車もある。しかし、この見方には反論もある。中国を始めとするアジア地域は、すばらしい経済成長を見せているが、世界経済のけん引にはなっていないというのだ。
二十七日つけのエコノミストも、中国機関車説を唱えている。米国発の金融危機が途上国を景気低迷の黄泉へ道連れにしなかったのは、中国のお陰であると。二〇〇七年上半期の中国とインドの消費は申し合わせたように伸びた。この両国の消費は、米国のGDP(国内総生産)よりも世界のGDPを引き上げた。
これは健康診断でいうなら、途上国の肺は米国の肺よりも健康であるといってるのと同じ。グリーンスパンFRB(連邦準備制度理事会)前議長が、世界は劇的に変わったと回顧録で告白した。金融危機を実質的に救ったのは、先進国の中央銀行ではなくアジア諸国であると認めた。
世界のGDPは段階的に成長し、設備投資に回せる資産よりも貯蓄のほうがはるかに多いので全体的にアジアへ向かって資金は流れていると見られる。この流れが世界を変えているのだ。インフレは抑えられ金利は下げられ定期預金の配当は下がり、リスク投資が増える傾向にある。
これがブラジルへの直接投資の流れをつくった。途上国のパワーに懐疑的な人は、花の世は短くてと考えるタイプの人である。ブラジルなど途上国のお陰で、金融危機は修復される。これから三,四年の間にBRICSが、世界経済をいいようにしてくれる。
来る五年も中国経済が元気で大豆や鉄鋼、コモディテイ、エネルギーを買ってくれるなら、ブラジルは住宅の修築をするべきだ。税法と労働法、社会保障制度、司法制度の改革だ。
ブラジルをよりよい国とするため邪魔をする悪魔は、ブラジリアにいる。ブラジル経済は、順調に発展しているから改革の必要はないとルーラ大統領に耳打ちする。屋根の修繕は、雨不足のときにやる。それをしないと、雨漏りで往生する。