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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年10月17日付け

 この週末、サンパウロ市のある日系団体で「サンパウロ市百周年記念祭式典会場の変更賛同者名簿」と称する署名活動が始まった。仕掛け人は、大事な時期に登場しては怪気炎を吐いて衆目を煙に巻く〃お騒がせ男〃天野鉄人氏=東京在住=だ▼百周年協会によれば昨年は日本国外務省が、今年は宮内庁警察関係者が視察を行い、もう動かせない時期に入っている。例によって絶妙なタイミングでの揺さぶりだ▼式典会場をサンバ会場からパカエンブー蹴球場にとの話は、文協選挙のたびに取りざたされ、弊紙でも何度も扱った。サンバ会場が「式典に向いていない」ことは誰もが一度は耳にしている▼しかし、選挙の場で争われた結果が現在だ。変えるのなら文協選挙までに決めておくべきだった。日伯交流年開始まで三カ月を切った今、すでに会場の善し悪しを論ずるべき段階ではない▼望ましいかどうかは別にして、いまさら会場を変えたら政府レベルでの混乱を招き、日系社会への信用をなくす可能性すらある。今、こんな署名活動をするのは場所うんぬん以前に、祭典全体に水を差す行為になりかねない▼しかし、仕掛けた本人は失うものは何もない。大事な時期だと十分理解した上で、誰もが不満に思っている議題を、結果を見通せない一部に託して提起した。ただし、混乱を呼ぶ時期に。いつもながらリベルダーデ区に所有する土地をちらつかせ、〃巧妙〃に仕込んだようだ。集まった署名用紙を見て、さぞや愉快だろう。狙いは騒ぎを大きくしたいという一点とみた▼さて毎度の事だが、これを日系社会への真摯な支援とみるか、余計なお世話とみるか…。(深)