ニッケイ新聞 2007年10月18日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】連邦警察と検察庁、国税庁は十六日、米系IT大手のシスコ・システムスを主犯とする犯罪組織に「ペルソナ作戦」を展開した。捜査介入によれば、同社は無断でブラジルのITシステムへ侵入し、貿易関係の公文書を偽造していた。
同システムに関わった企業は三〇社を数え、五年間にわたり一五億レアルを脱税したと見られる。連警は、シスコ・ブラジル支社長リッパー容疑者と南米部長のカルネバリ容疑者、国税庁監督官六人を含む四〇人を拘束した。
同システムは、サンパウロ市を中心にリオ・デ・ジャネイロ州やバイア州にまたがっていた。検察庁は二年前から同組織を内偵し、犯罪組織の構築と文書偽造、偽造文書の行使、贈賄、収賄、密輸、脱税、資産隠蔽、違法輸入、違法送金などで組織を告発する。
ブラジル側でシスコ・システムのラランジャLR(名義賃貸人)の一社として活動したMude輸入サービス社長モアシール・サンパイオ容疑者も拘束された。同システムの犯罪捜査には、米捜査当局も情報提供の協力をした。
システムは先ず、シスコのブラジル顧客大手Aが、米シスコに機械を発注、約五〇%の割引を貰う。大手Aは、LRへも同じ物を発注する。LRは、機械を大手Aへの納入として米シスコへ注文書を送付。
米シスコは、機械を五〇%割引で米国LRへ売却。米国LRは、機械をソフトとハードの二部分に分けてブラジルのLRへ輸出する。ソフトは、過大評価し免税恩典を受ける。ハードは、過少評価をして割安価格にする。
機械はイリェウス経済特区行きとして、サルバドール港へ陸揚げし免税恩典を受ける。その後イリェウスへ行かず、サンパウロ市のLRへ社内転送をする。サンパウロ市のLRは、Mudeへ機械を社内売却として免税させる。機械はようやく、大手Aへ格安価格で引き渡される。
このシステムは二〇〇二年、CCE電子機器がマナウスで似たような方法を使った。それから二〇〇五年、サンパウロ市の高級服飾店Dasluでも行われた。機械は先に大手Aへ届いており、書類だけがラランジャLRの間を走り回るのだ。米シスコの機械は一九八四年、異なるネットの情報キャッチ・システムとして発売された。