ニッケイ新聞 2007年10月20日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】為替市場は十八日、ついに七年振り一ドルが一・八〇レアルを切った。二〇〇〇年七月三十一日以来の最低価格、一・七八六レアルの終値をつけた。ドル通貨の下落傾向は、中央銀行通貨委員会(Copom)による基本金利一一・二五%の据え置き決定が決め手になったようだ。中銀の通貨政策によりレアル通貨は、投資家から魅力ある通貨と認められたようだ。国際投資家にとってブラジルの基本金利と外国との金利差は、国際金融市場での掘り出し物と見られている。
為替市場は十八日、強気で七回の競りを突進した。ブラジルと海外の金利差は、引き続き有利な取引を約束した。さらに外資の流入に拍車が、かかっている。ドル通貨の一日での下げ幅は九月十八日以後、最高の二・二四%。基本金利の据え置きは決定、中銀が金利を引き上げる可能性を示唆したようなものと市場は見ている。
インフレ圧力を避けるために中銀は、経済の活力を横ばいに保ち輸入も抑制する通貨政策を採る考えらしい。国内需要の盛り上がりも抑え、貿易黒字の捻出に努力するようだ。また基本金利の据え置き決定は、中銀の独立性を示威したことで投資家を安心させた。
ドル通貨の切り下げは輸入に拍車をかけ、インフレ抑制に役立つ。ドルが下がれば自動的に努力をしなくてもインフレを抑制し、中銀にとってドル安は船舶停泊用の錨である。
ルーラ大統領は、基本金利の据え置きでブラジル経済に何ら影響がないことを認めた。中銀の独立性は、これまで正解であったと述懐した。外遊中に通貨委員会の決定を批判したことを、大統領は弁解した。据え置き決定に対する批判ではなく、中銀総裁は金利引き下げの有無に関わらず国民に、よく説明せよと命令したのだという。
金利の引き下げは、簡単である。難しいのは、インフレの舵取りを誤らないこと。インフレが再来すると、犠牲になるのは貧乏人だ。インフレも心配だが、経済成長も大切で最低五%以上を達成せねばならないと、大統領はいう。